第34話

「ふふふ。美味しいですね。このたこやき、というものは」

 

 レインがフーフーとしながら僕が作ったたこ焼きを口に含む。

 ……レインの見た目が恐ろしいまでに良いせいでたこ焼きを口に含む動作も恐ろしいまでに洗練して見れ取れる。見惚れてしまうほど美しかった。

 

「当然だ。我の作りし物ぞ?(ありがとうございます)」


「これがあの赤王の悪魔だとは驚きです……見た目は強烈でしたが、おさしみ、というのも実に美味しかったですし」

 

 彼女は僕の家にちょくちょく訪れてきていた。

 ……いや、ちょくちょくというかほぼ毎日と言っても良いかもしれない。


「赤王の悪魔……あれを食料とすることが可能なのであれば飢えに苦しんでいる多くの民衆を救えるかもしれません。これらの作り方を広めても良いのでしょうか?」

 

 レインが僕へそう尋ねてくる。


「我はこの世界の王であり、世界そのものである。この世のものはすべて我の作りし物であり、貴様ら劣等種は我の知恵にすがり、生きているのだ。これまでと同じように好きに使うと良い。我はいちいち劣等種の行いに腹をたてたりはせぬ(あぁ、気にしないでください。人類のためになるというのであれば、ぜひ活用してください)」


「ふふふ。そうですか……ありがとうございます」

 

 レインが僕の言葉を聞いてゆっくりと頭を下げる。


「構わぬ(いえいえ全然気にしないでください)」

 

 それにしても……我はこの世界の王であり、世界そのものである。

 傲慢発言ここに極まり、だな……びっくりするくらいの傲慢発言である。おそらく中二男子であってもここまでの大言はしないであろう。


「それではしっかりと赤王の悪魔を倒せる戦力を作らないとですね……。赤王の悪魔は我が国でも憂慮すべき相手……その力は強大ですから」


「努力するが良い(はい。頑張ってください)」


「えぇ、もちろんです……残念ながらそろそろ帰らなくてはいけない時間になってしまいました……アンノウン様と過ごす時間はここまでのようです……」


「であるか(えぇ。わかりました)」


「また明日も来ても良いでしょうか?」


「好きにするが良い(はい。構いませんよ)」


「ふふふ。ありがとうございます……そろそろアンノウン様を私の家に呼べるのです……あ、アンノウン様は……来てくださいますか?」


「よかろう(はい。もちろん)」


「ふふふ。ありがとうございます!それではその時を楽しみにしていますね!それでは……また明日来ますね」


 レインは僕の家から出ていった。

 外で待機している多くの騎士たちと共に帰っていくのだった。

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