第6話
「誰だ!テメェ!」
僕に向かって振り下ろされる鉄の剣。
……人間一人の命を奪うには十分すぎる攻撃。
「ふむ」
僕はそれをギリギリのところで、肌を滑らせるように回避する。回避の動きは最小限で。
「ぐほっ!!!」
そしてそのまま流れるように僕は斬りかかってきた男へと拳を叩き込んだ。
僕の拳は男が着ていた粗末な鎧を貫通し、腹に勢いよくめり込んだ。
「……ァ」
男は白目を剥いてゆっくりと体を倒した。
「ふむ」
僕は手のひらを眺める。……動くな。
何故かはわからない。しかし、どう動けばいいか。どうすればいいか、感覚でわかった。
問題なく戦えるな。
「なっ!?な、何者だッ!?」
「何者……?」
「あぁ。そうだ。貴様の名は!?」
男一人が僕のことを睨みつけ、大きな声を上げる。
あ、名前を言え、と?無理じゃん。
「くくく。貴様らのような劣等種に教える名など無いわ(すみません。事情により、本名を明かせないのですよ)」
……なんか、口が勝手にエゲツない言葉を吐くんだけど。
劣等種って……やばいだろ。現代のアメリカとかなら大炎上間違いなしだよ。
これも……僕が問題なく戦えるのと同じ影響か……?
どうやら僕は記憶を失っているようだけど、体は覚えているようだ。
「……ッ!」
「舐めてんのか!テメェ!」
「喚くな、劣等種(うるさいですよ)」
僕は地面を蹴り、一気に距離を詰める。
「ぐ……ガァ」
そして、拳を振るう。
僕の拳はいとも容易く人間一人の意識を飛ばす。
「動くな!動いたらこいつらがどうなるか!」
男たちが転がされている女性三人へと武器を向ける。
「下らぬ(無駄ですよ)」
僕は魔法を発動させる。
一瞬で魔法陣が描かれ、魔法が問題なく発動する。
魔法によって生み出された雷が空を走り、女性三人へと武器を向けている男たちにぶつかる。
雷は男たち全員に流れ、一瞬で意識を奪った。
「……ァ」
彼らは全員そのまま倒れる。
「ふん。つまらぬ(これで終わりですね)」
はぁー。良かった。魔法が無事に発動して……。
使えるかどうかわからなかったから結構不安だったんだよね……。
……一体全体この魔法はどう言う原理で発動しているのだろうか?
意味がわからない……明らかに物理法則から外れているだろ、これ……僕が高校で必死に勉強した物理の意味が消滅しちゃう。
「残るは貴様らか(えぇ……と、大丈夫ですか?)」
僕は地面に転がされている女性三人へと視線を向ける。
「ふむ」
そして、僕は彼女たちの方へと歩を進めた。
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