第10話 梨々花の妨害計画
梨々花たち五人が修業を行っていたその時。
「「「「「ッ!?」」」」」
突然王城を揺らす大きな衝撃が走り、瓦礫が空を舞う。
「何事ッ!?」
豪華絢爛だった王城……衝撃によって大きく破損し、玉座の間がよく見えるようになった王城のほうへと五人が視線を送る。
「……ッ!お兄!」
梨々花の視界。
人間では到底考えられないほどの視力を持っている梨々花の眼は玉座に座っているアルベトの姿を確実に捉えていた。
「「「「この匂いはッ!」」」」
梨々花ほど化け物じみていない四人はアルべトの姿を見ることはできない。
しかし、謎に嗅覚でアルベトの存在を正確に感知していた。
こっちの方が遥かに不思議であった。
五人は急いでアルベトの居る玉座の間へと向かう。
「やっほー。みんな。お久」
玉座に座り、くつろいでいたアルベトは己のもとにやってきた四人へと笑顔で手を振る。
「梨々花も思い出せたんだね」
「……以前は負けた。それでも今回は負けないわッ!!!」
梨々花は……大きな声を上げ、
かつてと同じ構図。
遥か昔にも長女の封印を解除しようと動いたアルベトを止めるため、梨々花は玉座に座っているアルベトと戦ったのだ。
その時は接戦の末に梨々花の敗北に終わり、彼女は別の世界へと追放されることになった。
梨々花がアルベトのちからの一部を奪って逃走しなければ既に長女の封印は解かれ、絶望の怪物が動き出すことになっていただろう。
パッと見の違いはただ一つ。
梨々花には四人の強力な仲間が居るということである。
「最初から全力で……一気に終わらせるわッ!」
梨々花が己の膨大な力を開放し、巨大な魔法を発動させる。
そして、四人もその魔法を支えるように膨大な魔力を流し込んでいく。
「へぇ。随分と懐かしい魔法だね」
「えぇ。そうよ。これはかつて。お姉ちゃんが暴走したときに私とお兄が二人一緒に使った史上最高の魔法よ」
彼女たちの目的はアルベトを良い感じにボコること。
決して殺すことではなければ……マキナ以外のみんなはアルベトと戦いたくなんてない。
だからこそ、修業の末に直接戦うのではなく最初から最強の魔法をぶっ放して終わらせる作戦を立てたのだ。
「これで終わりよ」
梨々花はこの世界史上最強の魔法を発動した。
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