第11話 梨々花の妨害計画Ⅲ
梨々花が発動した……かつて僕と梨々花が使った文字通り世界最強の魔法が僕へと迫ってくる。
さすがの余であってもこれをまともに喰らえばひとたまりもないだろう。
しかし、だ。余がこんな魔法をまともに受けるはずがない。
「はい。おーわり」
僕は何百年とかけてこの大陸に仕掛けを施して作った魔法陣を起動し、僕の方へと向かってくる魔法を受け止める。
大陸全部を魔法陣として利用して発動される魔法は世界最強の魔法を包み込んでしまう。
「なッ!?」
あっさりと世界最強の魔法を無効化された梨々花は驚愕の表情を驚愕に固まらせる。
「僕が種を撒いて育てた四人を使って僕に勝てるわけがないでしょ?」
「……あっ」
僕の言葉を聞いた梨々花の表情が固まり……唖然とした様子でその小さくてかわいい口が開かれる。
うんうん。
どうやら梨々花は全然変わっていないようだ。
僕とお姉ちゃんよりも強大な力を保有している梨々花は己のポン故に僕とお姉ちゃんよりも実際に戦闘すると負けてしまう子なのである。
梨々花は必ず僕のフェイントにかかってくれるので最高に面白いのである。
「セイッ!!!」
梨々花が固まっている間にマキナが大地を蹴り、僕の背後へと回って聖剣を一振り。
玉座を破壊し、僕の首へと聖剣が迫る。
「は?」
僕の首へとぶつかった聖剣。
それは僕の首の薄皮一枚切ることも出来ずに止まる。
「その程度じゃ僕を相手にするとか絶望的だよ?一応僕だって少しは考えて強くなろうと努力したのだから」
「こりゃ駄目だな」
マキナは苦笑して、聖剣をしまう。
そして、レインたち三人からもこれは無理だな……っていう諦めの空気が漂ってくる。
彼女たちの中でマキナが一番強い。
そんなマキナが逆立ちしても勝てない僕に自分たちでは絶対に敵わないと察したのだろう。
「まだッ!」
そんな中でも動いてくるのは梨々花である。
梨々花と正面切って戦いたくはない。なんて言ったって単純な力勝負であれば僕が負けるほどに梨々花は強いのだから。
「ほい」
だからこそ、ちょっとズルいけど僕は道具を使わせてもらう。
「あッ!?」
魔力の効果を何倍にも膨れ上がらせる冥魂晶宝を作るときに出来る味噌っかすのような小さな冥魂晶宝を使って威力を底上げした魔法を使って梨々花の動きを強引に止める。
「あっ……う、そ」
魔法によって作られる圧力より地面から起き上がることもできない梨々花は地面へと体を伏せたまま呆然と言葉を漏らす。
「はい。……というわけで封印解除のお時間と行こうか」
余は玉座からゆっくりと立ち上がった。
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