第17話
イルミ王国。
貴族ではなく、王に強い権力が集まっている絶対王政の国家。
内陸国で陸上戦力がかなり高く、農業に適した肥沃な大地を持っている大国。
イルミ王国が誇る陸上戦力。
北の国境線を守る役割を持っている北方騎士団。
東の国境線を守る役割を持っている東方騎士団。
西の国境線を守る役割を持っている西方騎士団。
南の国境線を守る役割を持っている南方騎士団。
国内の治安維持などを担当している取締騎士団。
何か有事の際にいつでも対処出来る中央騎士団。
王族を守る大命を仰せつかっている近衛騎士団。
有事の際に行動可能な中央騎士団はレルメニア王国に属している騎士のエリートたちが集められてた精鋭兵。
そんな精鋭兵が全員とある森へと遠征しに来ていた。
「なっ……なんだこれは……」
イルミ王国最強の男であり、中央騎士団の騎士団長を勤めている男が目の前の光景を見て絶句する。
中央騎士団騎士団長の視界に映っているのはとある二人組の暗殺者。
その暗殺者二人は世界的に有名で、暗殺者と名乗っているのにも関わらず全然隠れようとしない無法者である双子の男であった。
決して捕まることのなかった双子の男が今。気を失い、拘束されているような状態となって転がっていた。
「騎士団長!至るところに拘束されている者たちが!どの者も問題児として裏の世界で名を馳せていた手練の者たちだらけです!」
「何!?」
辺りの探索を行っている部下の報告を聞いて、中央騎士団騎士団長は驚愕の言葉を上げる。
「……これを、全て仮面の御仁がやったというのか?……感謝しかないな。その御方がいなかったと思うとゾッとする」
中央騎士団団長は第一王女より、自分を助けてくれた御仁を探すようにという命を受けて、わざわざ特に何もないような森へとやってきていたのだ。
「今すぐにこの辺りを捜索せよ!決して仮面の御仁と出会っても刺激するような真似だけはしてくれるなよ!?」
「「「ハッ!」」」
中央騎士団の面々は中央騎士団騎士団長の命に敬礼で返し、散らばっていた。
「……これだけの手練を一蹴する御仁。かつ、上品な立ち振る舞いで王のような威圧と覇気を纏っている御仁……一体何者なのだ……?」
中央騎士団団長の疑問の声が空へと吸い込まれていった。
中央騎士団は森の中で捜索を続けるも、有力な情報を手に入れることは出来なかった。
……。
…………。
彼らは気づくことが出来なかった。
巧妙に魔法で隠された小屋の存在に……。
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