第24話

「ふむ……(おぉー!!!)」

 

 僕は目の前に置かれている巨大な象の石像を見て感激の声を上げる。

 

「我に相応しき大きさを威圧さではないか……(大きいねッ!)」

 

「でしょー?大きいでしょ?乙女ゲームで見たときもなんでこんなに大きな像があるのかと疑問に思って驚いたけど……実際に生で見るとその凄さも……ものすごく伝わってくるわね………」

 

 紅魔の森。

 辺りを覆っている赤い霧が特徴的な深い森。

 そんな大きな森の中……圧倒的すぎる存在を放っている巨大な象の石像を観察し、梨々花と一緒にテンションを上げていた。

 

「ふむ……()」


「……まだ邪魔者……なんでだし……あぁ。うざい。うざい。死ねばいいのに……いや、殺してやるのに」

 

 僕と梨々花は自分の元へと近づいてくる気配を察知する。


「……随分と物騒な姉ちゃんじゃねぇか……いや、嬢ちゃんだな」

 

 僕たちの方へと近づいてきていた存在……それは明らかに人ではなかった。

 禍々しい魔力を漂わせるその男を……警戒するなと言う方が……いや、別に僕の敵になりそうな感じじゃないし、警戒する必要もないかな。

 

 真っ暗な肌を持った2mを軽く超える巨躯。

 背中からは翼が生え、頭上からは立派な羽が生えている。

 その右腕は禍々しくとても人間とは思えない……長く太い攻撃的な爪を持っている。


「……邪魔……邪魔……邪魔……はぁー。ムカつく」


 ぶさくさと文句を言いながら梨々花が


「あれは私が殺しておくから」


「……お前は殺さないようにしてやろうと……一度だけ慈悲を与えたのだがな……」

 

 悪魔は僕の方へと視線を向けながら自らの魔力を高めている……その魔力の量は僕の53万分の1にも満たない。


「黙れ……今すぐに私が殺してやるから」

 

 梨々花はどこからともなく見たこともない……銃のようなものを取り出して悪魔の方へと向ける。


「たった一人の少女の手駒を手に入れて良い気になっても……無駄だぞ……お前程度じゃ俺には敵わない……」

 

 悪魔が傲慢に梨々花に向けてそう宣言した。

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