第31話
「……はわぁ」
僕の膝の上に頭を乗せているレルに魔力を流してあげる。
彼女はこうして僕から定期的に魔力の配給を受けないと死んでしまう少し、困った子なのである。
まぁ、彼女がこんな困った子になった原因は僕にあるんだけど……。
「なるほど……そんなことが……」
レルを膝の上に乗せて、魔力を流し込んでいる僕の隣にピッタリと座っているレインが魔族と人間の戦争の現状の説明を聞いて頷き、思考の渦にその身を沈める。
レインとレル。
二人は無事に目を覚まし、今。こうして僕の近くに居座っていた。
「作戦に何の問題もないわね。あの男が上手くやっていたようで良かったわ。後で褒美を上げましょう」
レインは中央騎士団長の働きぶりに満足げである。
彼はよく働いたと僕も思う。
「私たち少数で魔王を倒すって作戦も問題ないわね……唯一気になるのは向こうの大陸に言った際の兵站なのだけど……別に壊滅しても……」
レインの話している物騒なことを聞きながら、魔力をぼーっと流し続ける。
「あっ。マキナ……」
僕はマキナに話したいことがあったのを思い出し、マキナの方に視線を向ける。
「ピッ」
僕はマキナの方に視線を向けたことを一瞬で後悔する。
部屋の隅、蝋燭にのみ照らされている仄暗い部屋の隅、暗い隅っこに立ち、無表情で、一切まばたきをせずハイライトのない目でこちらを見つめているマキナ。
何故だろう。
悪寒が止まらない。
瞳孔が開き、ただただ無言で僕のことを見つめているマキナに僕は何故かわからないけど、嫌な、恐怖を覚えた。
……あれ?
マキナもレインやレル、ニーナ、梨々花と同じタイプのやばい奴……?
ただの変態さんでは、ない……?
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