第4話

「うむ。ではそろそろ我の帰還と行こうではないか(ではそろそろ帰りますか)」


 僕は二人の頭から手を離して告げる。


「……はっ!?いや、違くて私だけをあい」


「して?汝が連れてきた者どもはそこの劣等種らだけで全部か?(レインが連れてきた人たちはここにいる人たちだけでしょうか?)」

 

「あっ。そうです」

 

 僕の疑問にレインが頷く。……よし。ここにいる人たちだけだね。

 転移の対象にここにいる騎士の人たちを足していく。

 

「そ、それで、です!私のことだけをあい」


「何か荷物などあるか?(では、何か荷物などはあるでしょうか?)」


「え?……あ、そうですね。孤児院に止めてある馬車と馬たちは私たちのですね」


 なるほど馬車と馬もだね。……当然馬車の中のものもそうだよね。

 それらのものも転移の対象へと入れていく。

 ……後は孤児院の子供たちの荷物でしょ?

 よし。これで全部だな」


「そんなことより!私のことだけをあい」


「ではさっさと帰参するぞ(では、王城の方へと向かいますね)」


 僕は転移魔法を発動させる。

 空間と言う概念が歪み、距離が消滅する。


「へっ……私の」


「ッ!!!!!」

 

 ん……?転移の直前にニーナの声と悪寒が走ったような……?

 

 ■■■■■

 

 僕の転移魔法は完璧である。

 狙ったとおり人間と孤児院の子供たちの道具は僕がレインから貰った巨城のメインルームへと転移。

 馬車と馬は庭の方へと転移。

 狙い通りの完璧である。流石は僕だね。自画自賛しちゃう。


「こ……ここは……」

 

「そ、そんな……」

 

 今まで沈黙を保っていた騎士の人たちがいきなり狼狽し始める。……ん?どうしたんだ?一体。


「お、お許しをッ!!!」


「あ……あっ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!!!」


「今すぐに出ていきますのでぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええ!!!」


 騎士の人たちは脱兎のごとく慌てて扉の方へと向かって逃げ出した。


「あぁ。他の珍獣共は庭に置いておいた。さっさと回収するがよい」


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああい!!!」


「おまかせくださいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいい!!!」

 

 ガチャガチャと音と大きな声を残して彼らは扉を開けてこの場所から退出した。

 ……なんで騎士の人たちはそんなにも慌てているのだろうか?


「ふ、……ふふふ。こ、このクソガキ共の処遇をしなくてですね」

 

 レインがニーナを含めた子供たちの方へと視線を向けた。

 ……ん?クソガキ?

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