第3話

「っ」


「ァ?」

 

 ニーナの方へと伸ばされたレインの手。

 それをニーナは平然とはたき落とす。


「へっ」

 

 そして、ニーナは何を思ったのか僕の仮面を外してキスしてくる。

 ちゃんとレインには見えないように仮面を動かしている。

 ……それでもびっくりするから辞めてほしいんだけど。一応魔法によってもしニーナたちに見られてもまともに認識出来ないような魔法を使ってはいるけど。


「んっ……ちゅ……はぁ……」 

 

 2、3秒ほどキスを交わした後、ニーナは離れていく。

 一体何をしたかったの?


「あ……あ……あ……」

 

 何故かレインは体を震わせている。どうしたのだろうか?寒いのかな?


「ァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 次の瞬間、レインが大きな声を上げた。


「へっ。私は許される。お前は許されない。これが違い」

 

 ニーナは自信満々に告げる。

 まぁ……レインには申し訳ないけど身分の違いがあるからね。孤児で何も知らないであろうニーナならまだしも、王族であるレインに顔を見せるのはちょっと……。

 別にもう気になんかしていないけど……それでも面倒事が起こる可能性を不用意に自分から踏みにいく理由はない。


「─────ッ!!!」


 何を思ったのか、レインはニーナへと掴みかかっていく。

 それに対抗するようにニーナが僕の元から離れて臨戦態勢に入る。


「荒れるでない(喧嘩は駄目ですよ?)」


 僕はなんか喧嘩しそうなレインとニーナを止める。

 ……待って?レインとニーナ力強くね?


「ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああ!!!」

 

 レインが激高する。


「お前がッ!!!お前ガッ!!!!!私よりアンノウン様から愛されているなどッ!!!」


「でも、事実」


「何を言っておるのだ?我はレインよりニーナのことを愛しているなどということはないぞ?(一体何を言っているのでしょうか?僕は別にレインよるもニーナのことを愛しているなんてことはありませんよ)

 

 二人は一体何を話しているのだろうか?なんかものすごく殺気立っている二人を落ち着かせるように頭をナデナデしながら口をひらう。


「何故そんな下らぬ話をしているのかはわからぬが、我は平等に汝らを愛しているぞ?(何でそんな話になっているのでしょうか?別に上とか下とかなく僕はどちらのことも好きですよ?)


「はぅわぁ」


「えへへ」

 

 僕に頭を撫でられたレインとニーナは恍惚とした声を漏らし、表情をこれ以上無いまでにとろけさせた。

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