第1話

「終わりだ。終わり。……これで僕の計画はすべて成った。後は最期の一仕事をするだけだ」

 

 僕は笑みを浮かべながら、手元にある5つの巨大な宝玉を見てほくそ笑む。

 これは冥魂晶宝。

 人々の魔力が、魂の輝きが込められた一つの宝玉。

 この世界に『殺人』という概念を生み出し、一部の人類の遺伝子を作り変えて魔族を作り出し、幾度も大戦を引き起こして膨大な死者を生み出す。

 

 それらの魂の輝き。

 非業の死を遂げた彼ら、彼女らの魂が込められた宝玉が今、僕の目の前にある5つの宝玉なのだ。


「うん」

 

 僕は己の本来の姿を開放する。

 俺は己の本来の力を開放する。

 余は己の本来の性を開放する。


「ふぅー」

 

 余は一歩足を踏み出す。

 己の古巣を離れ、祭壇へとその場を移す。

 行きたいと願う。それだけで願いは叶う。 


「ふんふんふーん。一個、二個、三個、四個、五個」


 余は祭壇に5つの冥魂晶宝をはめ込んでいく。

 これはとある封印を解くための祭壇……下準備。


「祭壇、完成っと」

 

 これで封印を解除するための下準備は終わり。最期の1ピースを作るだけで終わる。


「ちゃんと動いてくれよ?梨々花」

 

 余は己の妹である梨々花の名を呼び、己が思い通りに動いてくれることを願う。


「ふんふんふーん」

 

 遥か地下に存在する地下より天上へと移り、僕は笑みを浮かべる。

 

「後少しだよ。お姉ちゃん」

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