第8話 梨々花の修行
「さて、と」
王城の一角に存在する訓練場にの梨々花とレインとニーナとレルとマキナの姿があった。
彼女たちは全員動きやすい服装を身にまとっていた。
「まずは修行からね。今のままお兄の前に立っても何も出来ずに敗北するだろうからね」
四人の前に立ち、屈伸している梨々花が口を開く。
「とりあえず現状を確認しようか。四人全員私にかかってきてちょうだい。如何に自分が弱いのかを教えこんであげるわ」
自然体のまま、隙だらけの姿のまま梨々花は四人の前に立つ。
「……」
それに対してマキナは無言で大地を蹴り、聖剣を一振り。
最初から全力。そこに一切の手加減は存在しない。
「足りないわ。何もかも」
梨々花はマキナの聖剣を素手で受け止める。
「ッ!」
そんな光景を前にマキナは驚愕に表情を強張らせる。
「えい」
魔界での経験によって養われた気配を消す技術。
その技術を用いて一切の気配なく梨々花へと近づき放つニーナの必殺の抜き手を梨々花は一切の視線を送ることもなく回避し、差し出された腕を掴んで握りつぶす。
「……痛い」
腕を潰されたニーナが表情を歪ませ……梨々花はそんなニーナに追い打ちをかけるように蹴りで吹き飛ばす。
「その程度の魔法じゃ何の意味もないわよ」
レインが歴史上の人類の中でも最速に近い速度で展開した数々の魔法もすべてその効果が発揮するよりも前に叩き潰される。
「動きはじめがわかり易すぎるし、遅いわ」
そして、剣を握って移動を開始しようとしたレルとの距離を梨々花は一瞬で詰め、その腹に強力な一撃を叩き込む。
「ぐほッ!?」
「最後」
最後に掴んだままのマキナを大きくもちあげて地面へと叩きつければ完全勝利。
梨々花は四人に何もさせず、圧倒的な力を見せつけての勝利を当然のように掴み取ってみせた。
「これが現状のあなた達。軽い力しか出していない私が相手でも簡単に惨敗するのがあなたたち。ちなみにだけどお兄は私と同じくらい……いや、私よりも強いわよ?本気のお兄がみんなと戦えばフルボッコにされるでしょうね」
地面に倒れ伏している四人に梨々花はそう話す。
彼女が話しているのは今、目の前の現状について。
「まぁ、修行とは言っているけど……ただただ自分の中にあるお兄に近い力を見つけるだけなんだけど」
倒れ伏している四人にそう話す梨々花。
四人たちの中には既に梨々花やアルベトが相手でも戦えるだけの力の下地があった。
アルベトがあえて四人に残した種の数々が……それらが開花すれば四人でもアルベトと戦う資格くらいは得ることができる。
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