第三章 亡国編

第1話

 ダンジョンからたくさん魔物が出てくるという騒動から早三日が過ぎた。

 その間、僕はダラダラと過ごしていた。

 

「ふむ。そろそろレインの元へと戻っても良い頃合いかも知れぬな(そろそろレインの元に帰ろうかなぁ……)」

 

 ここに来てからそこそこ経っている。もうなんかダンジョンには飽きていた。

 100階層までしか行っていないが……なんか100って大きな区切り感あるし、本に書かれていて見たかった景色はしっかりと見ることが出来たので、なんかもう既に満足してしまっていた。

 これ以上ここですることもないだろう。

 レインの美味しい料理が恋しくなってきた。

 

「え?誰?その女」

 

 ニーナが僕の方を見て尋ねてくる。


「む……?我が恩人とも言えるような劣等種であるな。我の元へと下るに足るだけの人物であるな(あぁ……私の恩人とも言えるような人ですよ)」


「へぇー」

 

 ニーナは感情のこもっていない言葉を呟き、

 その様子は実に不満げである。


「案ずるでない。ニーナらを捨てたりはせぬ(あぁ……大丈夫ですよ。ニーナたちを捨てるようなことはありませんから。レインはとても優しい人ですから、みんなのことを快く引き受けてくれるよ)」


 僕はニーナを安心させるように告げる。

 レインはとても優しい人だ。こんなにも困っているみんなを捨てるようなことはしないだろう。


「むぅ……」

 

 それでもなおニーナは不満げに頬を膨らませる。


「……私はパパの迷惑にかけないの。でもずっと一緒なの……それはずっとかわらないし、譲らない」


「うむ。そうであると約束したからな。案ずるな。我が約束を違えることはない(はい。そうですね。ニーナが僕に愛想を尽かすまではずっと一緒に居ますよ)」


 あのダンジョンの一件の謝礼金として多額の金額が僕に渡されている。そのおかげで僕の懐事情はこれ以上ないまでに改善されている。

 なので、ダンジョンに行く必要など無い。

 そのため三日ずっと孤児院で子供たちと戯れている。

 子供たちと戯れているだけならばわざわざここである必要はない。

 レインの王城の方に帰ってのんびりした方が良いだろう。


「皆の者(みなさん)」

 

 僕は孤児院で遊んでいる子供たち


「全員でここを離れるぞ。もっと良き場所へと行こうではないか(ここから離れましょう。そして、もっといい場所へと行きましょう)」

 

 僕が孤児院からレインのいる王城に行くことを決意した……その時。


「ようやく見つけました」

 

 孤児院の扉が開かれ、多数の騎士を率いたレインが孤児院の中へと入ってきた。

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