第26話
「私は怪物だから……化け物だから……使えない人間だから……」
レルは自嘲するように呟く。
「私は……何もかもを溶かしちゃうようだから……」
レルは泣きそうに呟く。
「私に近づいたらアンノウン様も……」
レルは孤独に呟く。
なんか知らないけど……すっごく悲しそうだよ?
せっかく魔族を倒したのに。
やっぱり体がぐちゅぐちゅになっちゃったからかな?ちゃんと僕が直してあげるから。
こうなってしまうことを考えた上で僕はやったからね。責任くらいは取るよ。
「ふむ……」
レルは僕の騎士。
で、あるのであれば僕も傲慢に言葉を返そうではないか。
いつも僕の言葉は勝手に傲慢になってしまうのだけど……やっぱり心の持ちようって大事だよね?
「……っ」
僕はレルの方へと一歩近寄る。
「……ッ!?」
「驕るな。劣等種。貴様程度が我へと干渉出来ると思うでない」
近づく僕に対して驚愕し……口元がニヤけているレルの前へと立ち、手を頭の方へと伸ばした。
「汝は我の騎士として戦い、敵を打倒した」
そしてそのまま優しく撫でる。
「それは称賛に値する。大義であった。よくやった、我が騎士。我が褒めているのだ。感謝せよ」
「あ……」
レルの表情に様々な感情が走っているのを見て取れる。
どんな感情が走っているのかは知らんが。
「しばし身と心を我へと預けよ」
「……ぅん」
僕の言葉にレルは頷く。
そして本当に身も心も、魂を僕の方へと差し出してくる。
そこまで僕に委ねなくても良いのだけど……僕はそんなことを思いながらレルへと魔力を流していく。
レルの魂へと干渉し、不安定になっている……なんかもう原型を留めていないくらい大変なことになっている魂を元に戻していく。
「……ッ」
レルが垂れ流していた瘴気は消え……ぐちゅぐちゅに溶けていた体も元の姿へと戻っていく。
「終いだ」
「これは……」
レルが元の姿へと戻った自分の姿を見て一言呟く。
うーん。魂の形が不安定だな……これは僕が定期的に魔力を流してあげないとダメかもしれない。
一年くらい流し続ければようやく安定していく、かな?そこら辺はまだわからないけど……当分定期的に魔力を流してあげないと行けないだろう。
「凄い」
「何も凄いことなどない。当然のことだ。我に出来ないことなどないわ。戯け。あまり王たる僕を舐めるでない」
僕はレルに対してドヤ顔でそう話した。
割と僕は何でも出来る。
出来そうにないなぁ……って思ったのはダンジョンであった亀化していた魔物や人間を元の姿へと戻すことくらいだ。
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