第13話
「これでダンジョン100階層制覇だな」
僕は黄金のミノタウロスが光となって消えていくのを見て満足気に頷く。
ダンジョン100階層、牛魔金殿。
黄金によって作られた豪華絢爛な巨大な城。
そこの最上階、玉座の間で立ちふさがるのは強大な魔物。
単騎で容易く大国を落とすような……伝説上となっている魔物であるゴールドミノタウロスエンペラー。
あまりの名前の安直さとダサさにゴールドミノタウロスエンペラーについて書かれていた本を初めて読んだ時、僕は爆笑した。
「ふー。というか、伝説上の魔物もちゃんといるんだな」
僕は一言呟く。
まさか本当に伝説上の魔物がいるとは思わなかった。
この魔物が本当にいたということは……伝説の中で書かれていたことも本当にあっったことなのかな?
本において、ゴールドミノタウロスエンペラーは魔王軍と人類軍が熾烈な争いをしているところに突如して現れ、双方の軍勢を壊滅。
その後は人類最強であり、当時勇者と呼ばれていた男と魔族たちを統べる魔王が二人協力して戦い、なんとか辛勝したと書かれていた。
「……」
そんなに強くはなかったけどな?
あえて縛りプレイをしていたからそこそこ時間はかかったし、最終的にレールガンだけで勝つことを諦めるほどには強かったけど……本気で魔法を使えば一分もかけずに倒しきれるだろう。
……ゲームでどうやって主人公たちはこのアルベトくんに勝つんだ?
最強過ぎると思うんだけど……ゲームデーターどうなっているの?バグっているんじゃないのか?
「まぁ、良いや」
別にゲームでのことなど僕が考えることじゃないだろう。
今の僕には何の関係もない。僕は今まで通り楽しく生きていくだけである。
「とりあえず帰らないとだよね」
僕は亀のオブジェを取り出して、牛王金殿玉座の間に亀のオブジェを起き、地上へと転移して戻った。
「ふー……帰っろ」
既に陽は落ちかけている。
早く帰らないと。ニーナたちが待っている。
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