第14話
「我の帰還である。喝采せよ(ただいま)」
僕はダンジョンから孤児院へと帰ってきていた。
孤児院には多くのベッドと布団、机や椅子が置かれていて、ベッドが一つしかなかった今までの殺風景な孤児院ではなかった。
「「「おかえりー!!!」」」
僕の方へと子供たちが駆け寄って抱きつこうとし──────
「ふん!」
ニーナが全員を叩き落とした。
「えい……だめ」
そしてニーナが自分一人だけ僕へと抱きついてきた。
……独占欲が強いなぁ。
「ふへへ」
そんなことを考えながら僕はニーナの頭を撫でる。
ニーナは表情をとろけさせ、グリグリと頭を僕の方へと押し付けてくる。
「あそぼー!!!」
ニーナにはたき落とされた後、僕の周りから離れていっていた子供たちが再び僕の方へと集まってくる。
その手にはボールが握られている。
「せやー!!!」
そして次々とボールが投げられる。
たくさんの子供たちが僕の方へとボールへと投げていた。
「ふっ。無駄である。この程度……我には効かぬ(何をするんですか……まったく)」
僕はボールを投げてくる子供たちへと視線を送る。
「我へと牙を剥けたのだ……何もなしで終わるとは思うでないぞ?(ふふふ。僕へとボールを向けたのです。やりかえされないとは思っていないですよね?)」
魔法を。
僕は魔法を発動させる。
僕の方へと投げられていたボールを魔法で浮かし、子供たちへと飛ばしていく。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!」
それに対して子供たちは楽しげな悲鳴を上げながら逃げ惑う。
「やったなー!!!」
「反撃だぁー!!!」
「行けー!!!」
そして子供たちは地面に落ちているボールを手に取り、投げつけてくる。
それに対抗するように僕は魔法を発動する。
結界でボールを弾き、ボールを飛ばす。当然大した力は込めていない。
「フッハッハッハッハッ!さぁ!劣等種のガキ共!!!我へと挑んでくるが良い!!!(ふふふ。頑張って僕にボールを当ててくださいね?)」
僕は子供たちとボールの飛ばし合いをしてわーわーと騒ぐ。
近所迷惑にはならないよう、魔法でちゃんと防音している。僕は周りを気配ることが出来るいい男だからね!
僕と子供たちがボールの投げ合いをしている間、ニーナは僕の膝の上に座り、嬉しそうに頬を緩めていた。
「ん……パパぁ」
「ん……?パパ?」
僕はニーナの呟きに疑問を覚え、首を傾げる。
「ふへぇあ!?」
ニーナは頬を真っ赤にして声を上げた。
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