第12話

「ガァ!!!」


 巨大なハルバードを二つ持った怪物。

 3mを越す巨体に分厚い筋肉で覆われた牛頭を持った二足歩行の怪物……ミノタウロスの亜種。

 普通のミノタウロスの肌は黒色なのだが……目の前にいるミノタウロスの肌は金色である。


「ほっと」

 

 僕は黄金で出来た玉座の間を走り回り、レールガンをうち続ける。


「ガゥ!!!」

 

 レールガンは確実にミノタウロスの体を貫通するのだが……致命傷とは至らずにすぐ回復されてしまう。すぐだ、すぐ。

 たとえ、頭を撃ち抜こうとも、心臓を撃ち抜こうとも、ビクともしない。

 

「ァァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 ミノタウロスが大きな声を上げ、それと共に魔力が吹き荒れる。 

 魔法が発動する前段階だ。

 僕はミノタウロスによる魔法の発動……それを魔法で封じ込める。

 一瞬で魔力が散り、魔法は不発に終わる。


「ァァ……ガァ!」

 

 ミノタウロスの剛腕が振るわれ、僕の方へと巨大なハルバードが迫ってくる……が、そんなもの僕の身を守る結界によって容易く防がれる。


「レールガンだけじゃ無理だな」

 

 僕はレールガンを仕舞い、右手をミノタウロスの方へと向ける。

 レールガンだけでの攻略は諦めた。


「「『万物を貫く天蓋の天弓。生命は飛躍し、文明は天を衝く。天弓を超えしは天砲』」


 ミノタウロスに向けた僕の右腕は大砲へと変形する。


「『悪天奉還』」

 

 大砲から放たれた絶大な威力を誇る一撃はミノタウロスを飲み込んだ。


「……ァア」

 

 それを受けてミノタウロスは全身を吹き飛ばされる……と思ったのだが、意外にもちゃんと生き残った。

 既にボロボロ。

 巨大なハルバードは消滅し、自慢の黄金の肌も抉れて真っ赤な血肉が丸見えであり、牛頭から生えている立派な二本の角は大きく損傷している。

 既に瀕死状態であるものの……それでもしっかりと生き残っていた。


「君が初めてだよ。これを受けて生き残った生命」

 

 僕は素直に称賛の声をミノタウロスへと向ける。


「それでもこれで終わりだ」

 

 再び右腕の大砲をミノタウロスへと向ける。


「『悪天奉還』『悪天奉還』『悪天奉還』『悪天奉還』」

  

「ァア!?」


 何度も何度も僕は大砲による一撃をミノタウロスへと向ける。

 一発で死にたいだったミノタウロスは二発目で膝を地面へとつけ、三発目で必死に顔を覆って防御していた両腕が消滅し、四発目で頭が消滅。

 そして、最後の五発目でようやく全身のほとんどが修復不可能なまでの傷を負い……ミノタウロスは倒れた。

 

「はい。おーわり」

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