第17話
「パパ!このお菓子美味しい!」
「はい……実に美味ですね。流石は帝国と言いましょうか」
第五皇子の仕事を見ているのに飽きた僕たちはダラダラとお菓子を食べて寛いでいた。
ちなみに僕は沈黙を保っている。
僕特有の傲慢ボイスで話すと、この穏やかな雰囲気が消滅しちゃいそうだし。
後、レルは少し離れたところで立って待機している。……一緒になって食べても良いんだよ?……あ、大丈夫……そう……。
「ほう……どうやら客人のようであるな(はにゃ?)」
「客人ですか?」
「……また、誰か邪魔に?」
僕の客人と言う言葉に反応したレインとニーナが氷のように冷たい一言を告げる。
いや、僕は『はにゃ?』としか言っていないんだけどね。
「たわけ。貴様らであれば少し集中すれば見つけられるでおろう?(あれ?二人はこちらへと近づいてくる人たちに気づきませんか?二人であれば問題なく感知出来ると思うのですが……)」
何故かは知らないけど……二人は結構強い。
人類最強クラスには強い。
二人の気配感知能力ならコソコソと近づいてきている人たちにも問題なく気付けると思うんだけど……。
「あぁ……感知ですね。アンノウン様以外以外を感知するとか苦痛以外の何ものでもないんですけど……」
「うぅ……」
僕の言葉を受けて二人は周りへと意識を向ける。
え?さっきまで周りに一切意識を割いていなかったの?いくらなんでも
「あぁ……」
「ちっ……」
レインが心底嫌そうな声でつぶやき、ニーナが舌打ちをつく。
ニーナ?舌打ちは怖いよ?どうしたの?グレないでね?お願いだから。
「なるほど……確かに近づいてきていますね」
「であろう?(そうでしょう)」
「近づいてきている、ってなんでしょうか?」
ずっと沈黙を保っていたレルが話に割り込んでくる。
何か嫌な気配を感じ取ったのだろう。
「一体何が近づいてきているのですか?」
「む?この盤面で近づいているような存在など一つしかないであろう?魔族共だ(魔族たちですよ。……今、ここに近づいてきている存在なんてそれくらいしかいませんよ。人間たちはみんな僕が転移させてあげましたしね)」
「なっ!?」
僕の言葉を聞いてレルが驚愕の声を上げる。
さて、魔族の討伐……とでも行こうかな。
いや?待てよ。ここは魔族の討伐をレルに任せた方が良いんじゃないか?レルはなんか本人は悪くないのに落ちこぼれ扱いされていて、可哀想だし……ここでかっこよく魔族を倒せば、みんなのヒーローとして、皇帝家の切り札として堂々と出来るのではないだろうか?
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