第18話

「して……レルよ。汝は何を望む?欲す?」

 

 僕はあえて自分の傲慢ボイスに任せて言葉を話していく。


「……っ」

 

 レルは……僕の言葉を聞いて言葉を詰まらせる。


「汝が望むはアレイスター帝国の繁栄か?平和か?魔族の撃滅か?」


「……」


 淡々と告げる僕。

 それに対してレルの反応は沈黙であった。

 あ、あれ……?反応薄くない?いや、ここまで来て今更引き換えるわけにはいかない……!



か?」


 

 僕の言葉。


「ッ!!!」

 

 それに対してレルが大きな反応を見せた。

 これか!やっぱり力を手に入れて自分の手で救ってあげたいよね!うん!そうだよね!

 僕は一人、納得して頷く。


「くくく……我へと頭を垂れ、願いを請え。汝が願う力を授けてやろう」

 

「あ……」

 

 レルはゆっくりと僕へと頭を垂れた。


「力を……私に……」

 

 そして震えている、小さくか細い声でそう願った。

 

「よかろう……くくく。汝が幸運。末代まで感謝するが良い」

 

 さて、と。

 ……こんなカッコいいこと言ったは良いけど何にも考えていないな。

 力ってなんだろう?何を上げれば良いのだろうか?

 これっぽちもいい案が思い浮かばない。一体僕は何をすれば良いのだろうか?うーむ。悩む。実に悩む。本当に悩ましいな。

 ……え?力って何???

 このゲームにレベルの概念があればパワーレベリングして上げれば良いんだけど、レベルの概念ないしな。

 武器と使える魔法を増やして頑張るシステムだったし……。

 そうだよ!武器!

 武器を上げれば良いじゃないか!

 

「『神話創生』」

 

 僕はなんか無駄にスケールのデカいことを口にして魔力を込めていく。

 魔力。魔力。魔力。

 僕を中心として膨れ上がっている魔力は……空間を、世界を歪めて顕現される。恐ろしく……禍々しい魔力が。


 なんかあれだよね。

 禍々しい魔力を漂わせる仮面を被った怪しげな軍服姿の男に頭を垂れてその禍々しい魔力を享受するボロボロの鎧を守った女騎士……。

 闇落ちイベントだよね、これ。傍から見たら。

 

「あ……」

 

 レルの周りを渦巻いていた膨大な魔力が一つの形になっていく。

 出来上がったのはレルを覆うように悠然とその場に存在している圧倒的なまでの力を解き放す光り輝く神々しい鎧。

 闇落ちイベントっぽく禍々しい鎧にでもしてやろうかと思ったけど辞めておいた。

 別にレルを闇落ちさせたいわけじゃないし。

 というか、武器・防具も自分で作れるんだから服も自分で作れば良かったな。


「喝采せよ。今再び……神話に並ぶ戦士が誕生した!」



「なにあれ?」


「は?」


 

 喝采は上がらなかった。

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