第21話

「ふんふんふーん」

 

 僕は森の中の小屋へと戻ってくる。

 

「よし」

 

 そして、魔法を発動しさせて小屋を改造する。

 空間を捻じ曲げて部屋を広くして、氷漬けにされた巨大なタコを取り出す。

 

「んしょ」

 

 僕は巨大なタコの一部を切り落とし、残りのタコはまた空間魔法で収納する。

 タコを氷漬けにしている氷を一瞬で溶かし、食べれるようにする。

 魔法でこのタコが食べられることは既に確認済み……!いざ!実食!

 

「頂きます」

 

 僕はとりあえずタコを一口サイズにカットし、生で頂く。


「んー!!!美味し!」

 

 食感良くて、ちゃんと甘い。吸盤のコリコリ具合も最高である。

 下準備なしでも十二分に美味い!

 ……うぅ……!泣きそうである。

 

「よし。料理作るか!」

 

 とは言っても僕が持っているのはタコだけなので料理もクソもないんだけど。

 タコをいい感じにカットしてから、塩ゆでする。

 塩はなんか魔法で作れた。すごいね。魔法。

 塩が作れるのであれば醤油も作れないかなぁーと思って試してみたのだけど……醤油は多分作れなかった。


「んー!美味しい」

 

 僕は塩ゆでしたタコを生で頂いていく。

 梅わさび醤油が無いのはちょっと残念ではあるが……このままでも既に最高すぎるくらい美味しい。

 久しぶりのまともな食事だ!

 僕の全細胞喜んでいる。心底喜んでいる。

 

「ふー。美味しかった……」

 

 僕はすべてのタコを美味しく食べ終えた。

 ……満腹、満腹。

 最高だった……。

 

「んー。流石に全部刺し身で食べるというの問題だよなぁ」

 

 僕はまだまだ全然残っているタコを思い浮かべてボソリと呟く。


「てんぷらとかたこ焼きとかたこ飯とかタコ煮とか……タコの酢の物とか……」

 

 タコを使った料理を思い浮かべながら妄想を楽しむ。

 ……色々と作りたいものがある。


「やっぱりたこ焼きかな」

 

 その中でもやっぱりたこ焼きが一番食べたいかな。


「んー……材料あるかなぁ……。鉄板とかなら簡単に作れるんだけど……」

 

 魔法を使えば鉄板とかはいくらでも作れた。

 でも、食べ物だけは作ることが出来ない……植物魔法とかないのかな?


「……やっぱり買い物しなきゃだよね……」

 

 僕は空間魔法を使って貯めに貯めている硬貨を取り出す。

 金貨もたくさん。銀貨もたくさん。銅貨もたくさん。鉄貨もたくさん。

 お金は結構持っていた。冒険者ギルドの高ランク、高収入の依頼をこなしまくっていたため、結構持っているのだ。


「買い物しに行くかぁー」

 

 僕は、とうとう重い腰を上げることにした。

 流石に買い物が出来ないのは問題的過ぎる。

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