エピローグ
「はぁ……はぁ……はぁ……」
海底から上がり、息を切らしている一人の男。
魔王。
「あれほどまでの存在が……ッ!!!」
魔王の脳裏にちらつくのは己が全力で持っても何も出来ず、何もさせてもらえなかった相手のこと。
「……この世は、広いな。忌々しい」
言葉を吐き捨てる。
「お疲れ様」
そんな魔王の前に絶対的な上位種が君臨なさる。
「……ッ!?!?」
魔王のありとあらゆるものが震え上がり、まともな思考回路が効かなくなる。
勝てない。
目の前の存在を見てそう悟る。そこにいるがつい先程視界に写った、勇者と共にいた少年であると魔王は認識出来ない。
あまりにも別物であるがゆえに。
「もう魔王役は要らない。魔族も用済みだよ。悪いけどね」
少年は一切悪いとは思っていないような態度で笑いながら魔王へと近づき……魔王の頭を掴む。
「あ……あ……あ……」
魔王は何もかもを諦める。
諦めざるを得ない。それだけの存在なのだ。目の前の少年は。
魔王と勇者の戦い。人間と魔族の長い……あまりにも長すぎるその戦いはすべて少年の手のひらで行われたことでしかないのだ。
「サクッと魔族も滅ぼすとしよう。うん。魔族なら別に良いよね。どうせ僕が作った道具でしかないんだし」
魔王を轢き潰し、魔族の根絶を軽々しく口にする。
この世界の絶対悪たる少年は、霧雨理央は嗤う。己が計画の成功を予期して。
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