第9話

 陽は上り、孤児院内を明るく照らす。陽の光を遮る魔法のカーテンは展開されていない。


「何しているのー?」


「それなぁに?」


「あつあつだ!!!」


「赤い!」


「なんかキモいー」


「きゃー!!!」


「わぁー!!!」


「ふへへ」


「仮面のおにいーさんー!」


「貼りつかない!!!」

 

 せっせと朝ごはんとしてたこ焼きを作っている周りにたくさんの子供たちが集まってきていた。

 ニーナは僕の元に張り付いたまま、僕に張り付いてくる他の子供たちを追い払っていく

 ……ニーナ。なんかやっていること矛盾してない?


「しばし黙れ、劣等種共。もう終わる(少し待っていてくださないね。もうすぐ終わりますので)」


「「「はいっ!!!」」」

 

 子供たちはまだ小さいとはとても思えない素直さで僕の言葉に頷き、大人しく待っていた。


「完成たるぞ(はい。これで終わりです)」

 

 僕はたこ焼きを作り終える。

 次に作るのはたこ焼きを乗せる机だろう。

 孤児院の中心に机を作り、そこにたこ焼きを乗せた。


「おー!!!」


「すごーいー!!!」


「魔法だー!!!」

 

 僕が使った魔法を見て子どもたちは歓声の声を上げる。


「各々食べるが良いわ(好きに食べてもらって構いませんよ)」

 

 たこ焼きはたくさん作っている。足りないということはないだろう。


「んー!!!」


「ご飯!!!」

 

 食べるが良い。

 その一言に子供たちは強く反応した。

 一目散にたこ焼きの元へと向かい、手で鷲掴みにして口いっぱいに頬張っていた。

 ……焼き立てで結構熱いと思うのだが……そんなのお構えなしと言わんばかりに子供たちはたこ焼きを口に含んでいる。


「「「おいしー!!!」」」


 子供たちはたこ焼きを口にし、目を輝かせる。


「じゃ、じゃあ私も……」

 

 ニーナは少しだけ怯えたようにしながら……たこ焼きの方へと向かい、ゆっくりと口元にたこ焼きを含む。

 ちなみにだけど、ニーナはちゃんとフォークを使って食べている。


「……ッ!おいし……!」

 

 ニーナは瞳を輝かせて呟き、すぐに二個目のたこ焼きを口に頬張った。


「ふぇぇぇぇぇ」


「ぐずっ……おいし……おいしい……」

 

 子供たちは涙すら浮かべながらたこ焼きを口に頬張っていた。

 

 それからしばらく。


「うぅ……もう食べられない……」

 

 子供たちはお腹を抑えてうずくまっていた。 

 あまりも勢いがすごくて、足りなくなるかと思ったが、そんなことはなかった。4分の3くらい食べ終えて、子供たちの手は止まった。

 魔力のおかげで地球人よりは体が頑丈になっているとはいえ……胃が少し心配になるくらい勢いよく子供たちはたこ焼きをたべていた。

 良い食べっぷりだった。



 あとがき

 純粋な子供を見て浄化されてクレメンス。

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