第18話

「あなたが何をしたのか。それを簡潔に言うのであえば国家転覆罪ね。それも最悪の」


「……え?」

 

 アレリーナの言葉に梨々花が驚く。


「最初は……ただのウザイ奴だったのよ。傲慢で、自分勝手で、我儘で……でも、人を思いやる心も持っている子だった。ルールが絶対に破らなかったしね。だけど

……あなたは成長していくに連れてどんどんひどくなっていた。そして……とうとうあなたは婚約者である彼女に……!ひどいことを……!彼が助けてくれたから良かったけど、彼が居なかったら……ッ!!!」 

  

 アレリーナの言葉がどんどんヒートアップしていく。

 全然知らない話だけど……なんか、ごめんって思うよね。


「……ここまでならただの国外追放とかで良いのよ……問題はこの先。あなたは何をトチ狂ったのか悪魔召喚の儀式を行ったの」


「え?」

 

 梨々花が再びアレリーナの言葉に驚く。


「原作にそんな話はなかったと思うんだけど……」

 

 ボソリと梨々花が呟く。

 僕とは違って梨々花はちゃんと乙女ゲームの方をやっているので、そこらへんをしっかりと理解しているのだろう。

 ……というか、梨々花はやった乙女ゲーム覚えているんだね……。梨々花の話を聞く感じ……梨々花がゲームをやっていたのって相当前だよね?

 記憶力良すぎるのでは……?


「信じらないわ……ッ!」

 

 驚いている梨々花の声がアレリーナには聞こえていないのか、アレリーナは一切に気にせずに饒舌に語り続ける。


「悪魔召喚。あいつがやった悪魔召喚のせいで多くの民衆が死に、貴族の中にも死者が出てしまった……そして今もなお悪魔は討伐出来ておらず、どこかに潜んでいるのか……今もわかっていないのよ。あいつは多くの人を殺した……大罪人。この国そのものを転覆させかねない大事件を起こしたのよ。あいつは」

 

 アレリーナが吐き捨てるように告げる。


「そんなやばいやつが野放しになるとかやばくない……?」


「そうよ……!だからやばいのよぉ!!!……ふー。ふー。ふー。私に任せて頂戴……なんとかしてみせるからッ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る