第19話
「ふむ……実に美味しい茶葉であるな……(あっ……美味しい)」
「こんなのを使って飲むなんて久しぶり……うん。美味しいわ」
僕と梨々花は王城の客室でゆっくり、くつろいで過ごしていた。
アレリーナ。
彼女が僕についてなんとかすると意気込み、動いてくれているので彼女に全部任せて、僕と梨々花はゆっくりとくつろいで過ごしていたのだ。
「ふむ……(ほえ?)」
「はぁー……なんで……?」
僕たちの部屋へと近づいてくる……怒り狂った凄い足音を立てている男と女の気配を……僕は感じる。
「なんでふたりきりを邪魔するの……?殺していいの……?殺してほしいの……?」
ブツブツと梨々花はなんかとても怖いことを話している。
ふたりきりを邪魔されたからって殺さないで?……僕も梨々花との時間は大切だけどさ。
「ここかッ!!!」
その次の瞬間。勢いよくドアが開かれる。
入ってきたのは金髪碧眼で筋肉質な美男子。着ている服も貴族らしくとても豪華だ。
「ッ!!!貴様ッ!!!」
そんな男は僕の姿を見るなり、頬を真っ赤にさせて僕の方へと突進してくる。
「ァ?」
それに対して誰よりも早く行動したのは梨々花だった。
梨々花は男の顔面をつかみ、床へと叩きつける。
「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
この部屋に入ってきたもうひとりの存在。
きれいな赤い髪に金色の瞳を持った可愛らしい少女が大きな悲鳴を上げる。
「……ァ?お前……お兄に近づくとか万死に値するんだけど?……何なの?死ぬの?死にたいの?……殺すよ?造作もなく、当たり前のように殺してみせるよ……雑種が……ッ」
梨々花はそんな悲鳴を上げた少女のことなんて完全に無視して、ぶっ倒した男の方へと近づいていく。
そして、ものすごい怒りのままに言葉を吐き散らかす。
「ぐふっ」
梨々花が倒れている男の腹へと蹴りを繰り出す。
「なんとか言えや、ゴラァ」
なんかもう梨々花がチンピラみたいである。たちの悪いチンピラだよぉ……。
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