第3話
「「「……」」」
レインとレル、いつの間にかイルミ王国の王城に居座っていたマキナ、あっさりと謎の災害によって滅んでしまった魔界より帰ってきたニーナのいるリビングは重苦しい雰囲気に包まれていた。
その理由は簡単。
一切、アルベトの足取りを掴めていなかったからだ。
「みんな」
そんな重苦しい沈黙に支配された空間を破壊するかのように現れ、口を開く梨々花。
「少し……アルベトのことについて聞いて貰ってもいいかな?」
「「「「……ッ!!!!!」」」」
マキナ。
その名を聞いて四人は強い反応を示す。
「あなた……何か知っているの?」
レインが一切の飾りっ気無い言葉と視線をマキナへと向ける。
「えぇ。殆どのことを」
レインの言葉。
「少なくともアルベトのことについて、今。本人を除けば一番私が詳しいわ」
「……妹、だったかしら?」
「えぇ。そうよ……そして、遥か古代。神話の世界より生きる存在。アルベトとして生きるよりも前から。霧雨理央として産まれるよりも前から。知っているただ二人の存在の一人よ」
「どうでも良い。……パパはどこ?」
だが、そんな話に一切の興味がないレルは梨々花の話なんて聞こうとせず、己にとって重要な結論のみを聞こうとする。
「そんなに結論を急ぐものでない」
それを諌めたのはマキナである。
「これは私たちよりも強い。話は大人しく聞いておくべきだ。少なくとも、私が有用と判断されている間は」
マキナは、勇者は他とは一線を画す天才である。
そんな存在であるマキナはなんとなくの感で梨々花が何を言いたいかを予期していた。
「教えてくれよ。……アルベトを誰よりも知ると豪語する妹よ。アルベトとは、彼が一体何をしようとしているのか?そして、それに対して何をしようとしているのか、を」
マキナは梨々花に真っ直ぐな視線を向ける。
「えぇ」
それを梨々花はまっすぐに受け止め、首を縦に振る。
「それじゃあ……語り始めましょうか。この世界におきた遥か過去の物語を」
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