第26話

 魔族。

 彼らがどこに住まう存在か。

 それは人類が住んでいる大陸の反対側に存在している大陸に住まう存在である。

 反対側に存在している魔族たちが兵站を前線に送るには船で運んでくるという大変な作業が必要になってくる。

 

 魔族たちに対して大打撃を与えるにはどうすればいいか。

 簡単だ。

 この大陸に存在する全ての港を破壊すれば良い。


「久しぶりですね」


 僕はにこやかな笑顔を浮かべて中央騎士団長へと話しかける。


「私は君の豹変ぶりに困惑していますよ……」

 

 それに対して中央騎士団長は困惑している。まぁ、今の僕の口調には困惑もするだろう。


「僕の口調なんてどうでも良いんだよ。重要なのは反攻作戦についてでしょ?」

 

「そうだな」

 

 今、僕とマキナは……魔族側の敵地ではなく、人間側の反抗拠点に来ていた。

 ここにいるのは僕やマキナ、中央騎士団長をはじめとして各国の強者、指揮官が集まってきている。


「……とはいえ、僕とマキナのすることなんて決まっているけどね」


「あ、あぁ。そうだな。……魔族側の方に侵入して港を破壊出来るのは二人くらいだろうしな……」

 

 中央騎士団長が僕の言葉に頷き、僕たちがするべきことを話す。

 そうなのだ。

 反攻作戦で一番重要な港の壊滅は全て僕とマキナに委ねられている。レインとレルが起きていれば手伝ってもらえるんだけど……今も眠っているので手伝ってもらえない。

 レイオフが二人に対してした攻撃はまぁまぁ厄介なのだ。冥魂宝の力を使った魂の封印術。それは今の僕では破れない。

 二人はまだ起きてはくれないだろう。


「とはいえ、僕たちは二人だし、そんなにド派手な事はできないからね?港を壊した後の仕事は中央騎士団長たちだからね。……頑張って!」

 

「あぁ……そこは任せてもらおう。君たちの指揮官殺しの影響が最近ようやく見え始めていてね。魔族の隊列が混乱し、突出しすぎているところなどもあるのだ。そこをうまく叩けば必ず……!我々も確実な戦果を手に入れてみせよう!」

 

 中央騎士団長が自信満々に頷いた。

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