第18話

 力。

 光の奔流。

 勇者が放った聖剣による一撃。

 

「す、すごい……」

 

 それが魔族たちを飲み込んでいく。


「流石だね」

  

 勇者の放った圧倒的なその一撃。

 それは魔族たちを守っていた結界を容易く破壊し、魔族の集団を一網打尽にする。ただ一人。

 

「ふむ……これが勇者の力か」

 

 四天王を除いて。

 元々周りの魔族たちは虚仮威しでしかない……大した強さも持っていない雑兵であろう。


「確かに……我らが王と同列に語られるだけの強さはあるか」

 

 四天王は手に持っている槍を振り回し、勇者を睨みつける。


「しかし、だからと言って誰も戦わないなどあり得ぬ。ご相手願おうか」

 

「良いわよ」

 

 スラッとした美しい足で床を踏みしめ、歩く勇者が四天王の言葉に頷く。


「おぉー!!!勇者と四天王が戦うのか!」


「やっちまえ!」


「おぉー!!!キターッ!!!」

 

「見ものだぞッ!アルベト!」

 

 実力者同士の一騎打ち。

 戦場だとちょいちょい起こる謎の儀式。

 実力者同士のハイレベルの戦いだと周りの人間、魔族が手を出すのも難しいため、完全に他の兵士を蚊帳の外へと追いやって始まる……。

 激しい戦い。

 

 もはや戦場の数少ない娯楽の一つとなってしまっていた。

 

 ましてや今回戦うのは勇者と四天王。

 

 周りの人間のテンションが上がるのも無理はないだろう。


「そうだね」

 

 女兵士たちの言葉に対して僕は頷く。


「さあ、やろうか。私も暇じゃないの。さっさと終わらせて上げるわ」

 

 勇者は聖剣を構え、不敵に笑う。

 その体からは膨大な力が溢れ出ている。


「ふぅむ……」

 

 四天王は動けない。

 その力に気圧されて動くことが出来ないのだ。


「あら?来ないのかしら?」

 

 それに対して勇者は笑いながら楽しそうに笑う。だがしかし……勇者の瞳は一切の警戒心を失っていない。


「我が名はレイオッ!!!」

 

 そんな中、四天王の男は強い言葉で叫ぶ。


「勇者を打ち倒すものだッ!!!」

 

 四天王、レイオは強い言葉でそう宣言し、勇者へと槍の先を向ける。


「良いわ……せいぜい遊んであげる」

 

 

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