第14話

「くっ……あ」

 

 第五皇子がどうすれば良いか。わからない。困惑したような表情を浮かべる。


「ふむ……劣等種よ。見栄を張るのは構わぬが……虚構は己を滅ぼそうとことになるぞ?歴史がそれを証明し、繰り返しているからな(……偉大な帝国の皇子としてのプライドを持って君臨するのは構わないですし、それもまた必要なことですが……そrはときに己を滅ぼすことになります。虚構の力を、過去の栄光に縋った先にあるものはなにか。それを既に歴史が証明していて……そしてそれはまた今も繰り返されていますから)」


 僕は困惑している第五皇子に向かって声を掛ける。

 アルベト。

 この子は元々ゲーム上だと絶対的な貴族であった。

 僕の声には人を屈服させ、服従させ、魅了する力が備わっている。


「そうですね……」

 

 第五皇子が立ち上がり、上座側にある椅子を譲って自分はその向かい側の席へと腰を下ろす。

 そして姿勢を正した。

 あっ……そこまできっかりとしたのね。偉大なるアレイスター帝国をこの一種でダストシュートしたんだね。早すぎてびっくりしちゃったよ。


「それでは、どうぞ。アンノウン様」

 

 レインが空いた席を示す。

 あっ……そこには僕が座るのね。

 ここで座るのを断るのは……僕の謎特性、傲慢ボイスのせいで出来なそうだし、素直に座るしか無いよね」


「ご苦労(それでは失礼しますね)」


 僕はソファの方へと腰掛ける。 


「それでは失礼しますね」

 

 そして、僕の隣へとレインが腰掛ける。

 ピタリと僕の真横へと体をつけてだ。……こんなにピッタリと体をくっつける必要はある?


「えいっ!」

 

 続いてニーナが僕の膝の上へと乗っかってくる。


「あな……ギリギリ……ゴリッ」

 

 僕は自分の膝の上に乗っかってきたニーナの頭を撫でてあげる。


「へっ」

 

「ふ、ふふふ」


 ニーナがレインへと笑いかけ、それに対してレインもまた笑顔を返した。

 よしよし。

 互いに笑顔を向けあっている!ちゃんと仲がいいね!良かったよ!

 最初二人が仲悪くて心配していたんだけど……良かった。仲良くなってくれて。ギスギスしているよりも明るい雰囲気の方が良いからね!うん。


 レルは座らずに僕の後ろに立っている。……座らないのかな……?詰めればなんとか座れると思うんだけど……。

 レインもすごくピッタリとくっついて座っているし。


「な、なるほど……随分と凄い人のようですね」

 

 目の前に座っている第五皇子が僕の様子を見てボソリと呟いた。

 ん……?一体一連の流れのどこに凄い判定する要素があったんだ?

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