第31話

 拠点。

 そこにいるのはたくさんの人、人、人だ。

 避難民たちも居るのだが……ここにいるの避難民たちよりも各国より派遣された騎士団、文官連中が多い。

 

 各国のパワーバランス。

 それはアレイスター帝国の崩壊とともに崩れ去ってしまった。

 元々アレイスター帝国は新興国。

 急速に勢いを伸ばした国であり、そこが消えたら昔ながらのイルミ王国とサブマ教国の二強となるから良いのである。

 しかし、問題なのはイルミ王国がアレイスター帝国を飲み込んでしまうことである。

 そうなればイルミ王国がサブマ教国の国力を突き放し、世界にまたがる大帝国と化してしまう。

 

 世界の一強国時代。

 それは世界がその国の暴走を止められないということになってしまう。

 地球で言うところのアメリカだ。

 イラン戦争など、アメリカという超大国が引き起こした戦争をどの国も止められず、国連は何も出来ない。

 そんな状態となる。

 

 世界各国はそんな状態となってしまうことを絶対に容認しない。

 イルミ王国がアレイスター帝国を飲み込むなんて言うことを容認しない。

 だからこそ、世界各国がアレイスター帝国へと戦力を送り込み、イルミ王国の王女と一緒に帝都を開放する。

 人類が一丸となって魔族という脅威に立ち向かい、開放した。という事実を作りたいのである。

 

 というか、確か前世。

 ロシアがウクライナに攻め込んで、それに対して国連が何も出来なくて、国連が機能していないだのと話題になっていけど……今更だよね。

 国連が正常に機能したことなど出来て以来一度たりともないだろう。

 

「なるほど……それではですね……」


「えぇっと……ここはここになっていましてですね」

 

 僕は前世のことを思い出しながら拠点の方で慌ただしく動いている人たちを一人、ぼーっと眺める。


「ふわぁ……」

 

 僕の仕事は簡単。

 準備が終わった拠点の面々を帝都へと送りつけるだけ。みんなが準備が終わるまでの時間は特にすることがない。

 僕はフリーダム……エン、暇!

 やることも特に無いので、ずっとぼーっとして、待っていた。

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