第30話

「チッ!」

 

 魔族の男が僕に向けて悪態をつき、慌てたように後方へと下がる。

 

「ふん。無駄な足掻きだ……(無駄ですよ)」

 

 そんな男に向けて僕はレールガンをうち、脳髄をぶちまけてあげる。


「他愛のない(これで終わりですね)」

 

「よく頑張ったね!」

 

 魔族を倒した僕のもとにレルが駆け寄ってきて、頭をよしよしと撫でてくる。

 ちなみにニーナは戦闘中であっても気にせず僕にへばりついていた。


「お疲れさまでした。お飲み物です」

 

 レインは僕に飲み物を渡してくれる。


「ご苦労」 

  

 僕は飲み物を口に含んで潤いをもたらし、飲み終えた容器をレインに返す。

 飲み終えた容器をレインはまるで財宝を扱うかのごとく丁寧に受け取り、仕舞った。


「ふむ……これでほとんどの村、街は開放し終えたか(これで、ほとんどの村、街は開放したことになるんでしょうか)」


「そうなりますね……残るは帝都くらいでしょう」

 

 僕の言葉にレインが頷く。

 アレイスター帝国を支配する魔族たち。

 それを壊滅させるために僕たちはアレイスター帝国中を渡り歩いていた。

 大きな街、重要な何かを栽培しているような村に一人、魔族が配置されていた。

 僕達はそれを各個撃破していったんのだ。

 まだ行っていないのは帝都だけ。


「確かにそうだね。……ふふふ。お疲れ様」


「あぁ……汝らも大儀であったな(うん。みんなもお疲れ様)」 

 

「一度拠点の方に戻りましょうか。帝都奪還を私たちだけでやるわけには行きませんから」


「……ごめんね。政治のゴタゴタに巻き込んじゃって……」


「我は一切気にせん。思うがままに動くまでのこと……気に食わなければ守っておらん(あぁ……全然大丈夫ですよ)」


「えぇ……アンノウン様は寛大な心の持ち主ですからね……この程度であれば一切きになさらないでしょう」


 僕の言葉にレインが頷く。


「それでは一度拠点の方に戻りましょうか」


「うむ(はい。そうですね)」

 

 魔力を開放する。

 僕は内なる魔力を開放して、操って……転移魔法を行使する。

 空間がねじ曲がり……景色も変わっていく。


「我の帰還である(はい。到着です)」

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