第27話
「如何用であるか?(何の用でしょうか?)」
僕は玄関にいる受付嬢さんの方へと向かい、尋ねる。
「ダンジョンが……ダンジョンが氾濫しました!!!どうかッ!どうかお力添えを!」
……ダンジョンが氾濫?
初めて聞く言葉だけど……あれかな?梨々花が書いて渡してくれるようなラノベに出てくるダンジョンの氾濫と同じような感じかな?
「汝が我への嘆願。しかと受け取った。我はたとえ貴様らが劣等種であったとしても見捨てるような真似はせん。すぐに向かおうではないか。感謝するが良い(それは大変ですね。私に出来ることがあるのならば喜んで力を貸しましょう)」
「ありがとうございます!!!」
僕の言葉に受付嬢さんは涙すら浮かべて感謝する。
受付嬢さんは既に問題が解決した、と言わんばかりの表情である。
まぁ、前人未到らしいダンジョン100階層にまで降りた僕に期待する気持ちはわかるけど、まだ始まってもないのに終わったかのような表情をするのはどうなんだろうか?
とはいえ、既に解決したも当然だけど。
「しかし、だ。我の懸念はこの城よ。……汝が我の代わりを果たしてくれるぬか?お前のような劣等種では我の代わりなど出来ぬとは理解しておるが、それでも幼子だけよりはマシであろう?(……ですが、一つだけ不安点があります。それはここのことです。この非常事態の中、子供たちだけを残していくわけにはありません。私の代わりにここに居ては貰えないでしょうか?)」
今までここに危なげな男たちが近づいてきたのは一度だけだ。
それ以外には一度たりともない。僕がダンジョンに行っている間も結界を貼っているからちゃんと把握出来ている。
安全、と言っても良いかも知れないが、ダンジョンが氾濫していると非常事態なのだ。ここがずっと安全と言うのは……少し危険だろう。
別に僕が結界だけをここに残すんでも大丈夫だろうが……それでも一人くらいは大人を残しておきたい。
「あ!それくらいなら私に任せてください!子守は得意ですので」
「良き答えだ。それでは、我は行くとしよう。そこで我の帰還を待っているが良い(ありがとうございます。それでは自分は行ってきますね)」
「どうか……どうか、よろしくおねがいします」
受付嬢さんはまるで神に祈るかのようなポーズをとって僕に深々と頭を下げた。
「祈る必要など無い。我が動く以上吉報以外ありえん。貴様は神をも超える我を味方としたのだ(祈る必要もありませんよ。祈らずとも……私が吉報を持って帰ってくることは確定的ですので)」
僕はダンジョンの方へと転移した。
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