第12話

「ひどい……」

 

 僕たちがたどり着いた村を見てボソリとレルが呟く。

 

「そうね」

 

 それに対してレインも同意する。

 僕たちは今、レルと出会った場所から最も近い村へとやってきていた。

 たどり着いた村。

 そこに広がっていたのは地獄のような光景だった。

 

 村に建てられていた家々の殆どが半壊していて、道端には当たり前のように村の住人と思われる人の死体が転がっている。

 その死体の中には子供や赤ん坊の姿まである。

 

「ごめんさない……」

 

 こんな地獄を前にしてレルが崩れ落ち、そんなレルを慰さめるようにレインが駆け寄って寄り添って上げている。

 

「見てみて、パパ」

 

 何の躊躇もなく死体あさりをしていたニーナが僕の元へと戻ってくる。


「む?(はい。何でしょう)」


「じゃーん!」

 

 ニーナが見せてくれたのは血の結晶。

 何故かは知らないけどものすごいエネルギーを持っている血の結晶だった。


「きれいでしょ?」


「ふむ……実に素晴らしいものではないか(あら……きれいですね)」

 

 僕はニーナの持っている血の結晶を見て感嘆の声を上げる。


「えへへ……これ!パパにあげる!」 

 

 ニーナが僕の方へと血の結晶を渡してくる。


「む……?そうか。ありがたく受け取ろう。汝の我への献上。大義たるぞ(本当ですか?……ありがとうございますね)」

 

 僕はニーナから貰った血の結晶をありがたく受け取る。

 魔法と使って血の結晶に装飾を加える。ペンダントとして首にかけられるようにだ。


「むむ!?」

 

 それを見て何やら不満げなレインが僕の方へと視線を送ってくる。

 あれ……?慰めていたレルはどうしたの?放置してきたの?


「それはご遺体の誰かが持っていたものですよ……?そんな物を持っているのは縁起が悪いのではないでしょうか……?」


「我が死者の怨念ごときに屈するわけあるまい。我を何だと心得る?この結晶だって地面で転がっているよりも誰かに大切にしてもらっていたほうが良かろう(……?例え死者の怨念があったとしても僕には無意味ですよ?何の意味もありません。それにこの血の結晶だって転がっているより、誰に大切にしてもらっている方が良いんじじゃないでしょうか?)」


 レインの言葉に対して僕はそう返す。


「むにゅ……ですが……うぅ……死体あさりは……」


 死体あさりという行為に対して戸惑っているレインを見て、ニーネが首を傾げる。

 いや、死体あさりは決して褒められることではないからね?ニーナがせっかく持ってきてくれたから僕は素直に受け取ってあげたけど。

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