第3話

「そ、それはどういう……?」

 

 僕は予想外の言葉を聞いて首を傾げる。


「ふむ。……簡単な話よ。そもそもの話。始まりが違うのだ」


「始まり?」

 

 目の前の僕の言葉を聞いて僕は困惑を抱えて首を傾げる。


「今、汝の予想をまとめると、アルベトが誕生し、自らの魂を分けて、肉体を作り、死した理央の魂を肉体に宿したってことであるが……そもそもの話。これはアルベトから始まっておらぬ」


「え……?」

 

 困惑。

 今、僕が抱いている感情はそれだけだ。

 アルベトから始まっていない……?僕から始まっている……?ち、地球から異世界に……?

 そんな技術なんてないし、魔法もないような世界でそんなことできないと思うのだが。


「始まりは理央の方よ……まず始めに理央が生まれ、理央がアルベトを作ったのだよ。我と汝。共に同じ魂を持った者同士よ……それと一つ。汝の本名は理央にあらず。エレパース。それが汝の名よ」


「……」

 

 僕は沈黙し、理解し難き目の前の男の言葉を飲み込む。

 ……なるほど?それでは、理央の方が先に生まれていて、理央が異世界でアルベトを作った?いや、これは流石に意味がわからなすぎじゃないか?目的も、方法もわからない。

 違うか。一番大事なのは本名が違う。理央ではなくエレパース。ここだ。

 ……。

 …………。

 もしかして僕は元々この世界で生まれていて、二つの別れた魂の片割れである僕が地球の方へと飛ばされたのか……?

 僕は異世界に転生してきたのではなく……地球という異世界に転生して、戻ってきただけ……?


「詳しいことなど話すだけ無駄である。さっさと一つに戻ってしまった方が早い」


「……確かにそうだね」

 

 僕は目の前の僕の言葉に頷く。

 確かに、ここで僕が悩んでいても無駄だろう。


「手を出すが良いわ」

 

 目の前の僕は僕の方に向かって手のひらを差し出す。


「うん」

 

 それに対して僕は頷き、同じように手のひらを伸ばす。

 

「うむ……これで良い」

 

 僕と目の前の僕の手のひらが合わさり……この場は光に包まれた。

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