051話 間話 モテモテ一人目

 サイオン side

 

 僕にとってカイの考え方は世界に色がつくようで僕が生きていいと、初めて権力以外で認められて存在が皇族のサイオンから、人のサイオンに生まれ変わった、カイは僕を救ったまさに救世主また色を失った世界に僕は戻れない。

 

「サイオンついてこいよ」

 

 食事が終わっていきなり僕をご指名ってまさか昨日の夜の続きなの!!名前呼ばれるだけで嬉しいよ。

 

「えへへ、なにするの?」

 

「仕事の説明」

 

 朝からはしないか、残念。

 

「僕なんでもするから、仕事たくさん任せてよ」

 

 やっぱりカイに頼りにされる、役に立つのは嬉しいし安心する。なんだろう居場所が固まる気がするんだよ。

 

 カイは朝食を作るときに出た生ゴミをもってラスボス部屋に向かう。

 

 僕もフロアマスターになって移動の権限はあるからついていくのに問題はない。設定に関係なくボス部屋の扉を開けられるって事らしい。

 

 ラスボス部屋で水からポチャンとスライムが出てくる。

 

「ペットのうみな、スライムだけど意思はあるみたいだ。まだ高い知能はないのか会話は出来ないけどな。これは俺の趣味な」

 

 スライムは生ごみをカイから手渡しでもらいお行儀よく待って毎回一礼して食べてる。

 

「!?!こんなスライムはじめて見るよ!?」

 

「さて仕事だが基本は四階に侵入してきた敵の撃退だ。撤退させるか大怪我させて足止めがサイオンの仕事だ」

 

「敵を殺さないのはなぜ?」

 

「死ねばDPになるが居るだけでDPになるから、撤退しても拠点はダンジョン内だからさDP的に殺さないのがベストだ。後、仕事中は俺サブマスターだからな」

 

「了解です。サブマスター様、瀕死で安全に長生きさせてDPを最大限絞りとりながら、防衛します。勝てない相手はどうしましょうか?」

 

 僕は帝国の軍人としても教育受けていて今日ほど教官に感謝したことはないな。御飾りとしてでも皇族だから指揮官の仕事をする可能性があったからね。

 

「俺がここで相手するから無理して死ぬな、逃げろ」

 

 カッコいい!!頼りになる上司は最高だね。

 

「サブマスター様は魔法使える?」

 

「魔法の解析してたらうみが生まれたし、水の操作は出来るな」

 

 ラスボス部屋に満たされた水を操作して、シャボン玉をたくさん飛ばしてる。

 

 うみが自慢気にしてるけど、スライムの力じゃないぞ。

 

「わぁー!すっごくキレイ。あれ?僕の魔法無効スキルで近くの魔法は全部強制的に解除するはず」

 

「影響受けてないな。それが結論だろ?仕組みは分からんが大きな問題は今のところないからな」

 

「それは魔法使えないはず・・・スキルである限り絶対に無理だよね?神がそう決めてるって・・・やっぱり、使えてるから細かいことはいいか。全部カイの言うとおりでいいや」

 

 カイは僕の救世主だし居場所なんだし、僕を苦しめたのも教義だったからカイが正しくないと僕が困る。学者でもないし、あんまり信仰もあつくないのだよ。

 

「俺の考える事を無駄に増やすな、少しは自分で考えて楽しめ、成長も思考も娯楽だが人のめんどうをみる趣味はない。同じことを共有して遊ぶから楽しさが増えるだろ」

 

 ん?なんでいきなりそんなことを言うのだろう?あー、もしかしてカイって神様信じてない?でもそうするとスキルとステータスがないよね?んー?ん?とにかくカイが楽しければいいのかな?

 

「僕が、僕なりに考えて頑張ればカイは楽しい?」

 

「そういうことだ。言うこと聞くだけとか道具と同じだ。サイオンが人なら考えろ」

 

 名前呼ばれると嬉しい。

 

「えへへ、僕考えて頑張る」

 

 よし、考えてカイに抱きつくことにしよう♪

 

「いきなりどうした?」

 

「絶対に魔法無効のスキルがカイに無効なのを証明して僕も楽しんでます」

 

 スリスリと頬擦りするとカイが頭を撫でてくれる。

 

「スキルの解析するから侵入者がくるまで付き合え」

 

「了解です。サブマスター様、僕のことを隅々まで調べて下さい」

 

 なんかエロチックなセリフと気が付き顔が赤くなって熱くなるのが自分でも分かる。

 

「必要ならな」

 

「うん」

 

 照れたのに真面目に返された。僕魅力ないかな?キアリーの方が胸はあるしな。

 

 僕のは三人で一番小さいけれど、顔と戦闘力なら負けてないぞ。

 

 でも今は2人きりで頭なでなでしてくれてるから許す。

 

 スライムのうみの視線を感じて、見ると目なんてないし、喋らないけど、『ドンマイ、押せ押せでガンバ!!』と僕を応援してる気がする。

 

 うみに残ってたご飯をあげてカイにべったり抱き付いて幸せを満喫する。

 

 うみはもしかしてご飯をねだっただけかも?まぁいいや僕はカイのお嫁さんになるからね。

 

「カイは男が好き?」

 

「んー?男とかあんまり可愛くないからどうでもいいな」 

 

 良かったお嫁さんは僕もなるからね!!

 

「僕はカイが好き、僕も強くなってカイとずっと一緒に居る」

 

 ぎゅーと抱き付いてもなでなでは続けてくれる。

 

「そうか」

 

 いつかカイに僕が好きって言って欲しいな。そのために頑張ろう。

 

 神の教えだからじゃなくてカイの言う考える人間にならないとね。なれないけどきっとこれからの人生楽しいのは間違いないと確信してる。

 

 早くカイと一緒になりたいな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る