180話 こいつ誰?

 初戦は圧勝?らくらく全滅させた優姫だよ。

 

 

 先ずは切り札を見せないで防衛に成功したよ。これで反転攻勢の計画をしていると、ダンジョンが初めて見る警報?警告?を出して一人の男が通信モードになり映る。

 

『急に連絡してすまない。君のようなマスターを探していたのだよ』

 

 職人か研究者という雰囲気で髪はボサボサ、服もよれよれだよ。エレンティアも研究バカだけどさ身なりは奇麗にしてるよ。

 

「邪魔なんだけど?神の介入?敵なの?」

 

『敵じゃないぞ、ダンジョンマスターの味方、混沌のマゼマさ』

 

「誰?私は知らないけど?キアリーさん!!こいつ誰か分かる?」

 

 海くんとサイオンは射撃練習してるし、ミレーナはコアルームには入れないし、ネイは仕事で忙しい。エレンティアは海くんじゃないとなかなか気が付いて貰えないし、研究中の魔法が暴発したら危ない。だからキアリーさんしか居ないよ。

 

「さて?存じ上げません。」

 

「ほら偽物じゃん、敵はぶっ殺すぞ!女は突貫よ!!」

 

 混沌のマゼマと名乗った男は慌てだ様子で静止してくる。

 

『待て待て、それなら証拠を見せよう』

 

「証拠?私の味方で、貴方が混沌神マゼマなんて証拠あるの?」

 

『ああ、君のダンジョンの収入を10%アップしよう。これは、僕からの友好の証でかまわない』

 

「どれどれ?おー!!本当にDP収入増えてるね。ありがたく受け取るよ」

 

『僕の話しくらいこれで聞いて貰えるかい?』

 

 戦争は勝手に決めたいけど、まだ神とかそこまで勉強する時間が無くて、判断がつかないや。ネイに交渉は任せるかな。

 

「仲間を集めてからでもいい?」

 

『ああ、それでいい。僕としては君と敵対しても得はない』

 

「それじゃ今夜でいい?」

 

『そうだな、ダンジョンメニューに僕への連絡を追加しよう。都合の良いときに連絡してくれればいい』

 

「どれどれ、本当に混沌のマゼマって連絡先が増えてるよ」

 

 そして夕食を済ませてミレーナ以外を集めて通信を開きます。呼び出して2分ほどして応答がある。

 

『遅くなってすまない、改めて僕は混沌のマゼマ、気軽にマゼマと呼んでくれたまえ』

 

「本物の混沌神マゼマですか?ー♪」

 

『僕はダンジョンコアの製作者で間違いない。僕は戦闘は苦手なんだ。だから強い味方が欲しくて、ダンジョンマスターを設定したんだ』

 

「ダンジョンマスターの理由は分かりましたー♪でも魔物の領域にダンジョンを設置する理由にはなりませんよー♪」

 

『それについては、君達が僕の味方なら話そう。僕は光陣営にも、闇陣営にも所属してない。君達が両陣営から敵対されてるのは知ってる。そして、形としては僕は中立だけどいずれどこかで、神々と戦うかもしれない。その時に君達には僕の味方であって欲しいのさ』

 

「私の敵は神託を下した神なんだよ。中立なだけなら、信用できないよ」

 

 黙ってるつもりだったけどつい口出しをしてしまう。こう見えても私、ガチギレしてるんだよ。

 

『そこまで覚悟を決めてるなら話は早い。僕は積極的に敵対こそしてないけど、どっちの陣営も間違ってると思うんだ。だから元に戻したいんだ』

 

「話が見めませんねー♪とりあえず混沌神マゼマはー♪何を目的にしてるのですかー♪?戻すとはどういうことですか?ー♪」

 

 確かに主語が抜けてて意味が分からないね。

 

『知ってもどうにもならない事があるんだよ。もしも知りたいなら、僕は絶望しない心と神を名乗る彼らと戦える力が必要だと思う』

 

「そんなこと言われてもー♪判断出来ませんー♪戦える力とはダンジョンでも不足なのですか?ー♪」

 

『ふむ、ダンジョンコアは僕でもマスター登録されてダンジョンマスターが生きてる限り介入出来ない。神を名乗るやつらと戦えるように作ってある。必要なのは力技で破壊しようとしても耐えられることなのさ。そのためには莫大な魔力、つまりDPを必要とする』

 

「それではまだまだー♪DPを貯めてー♪集めろと言うことですか?ー♪」

 

 DPって魔力だったんだ。あれ?強さと吸収出来るDPは連動してないよね?うーん、まだ分からない事が多いなぁ。

 

『それもが一番味方としてして欲しい事ではある、しかしながら君達が真実を知りたいなら、試験を考えている。受けるかい?』

 

「何をさせるつもりですか?ー♪」

 

『この大陸の中心部には魔王、それも魔神級の手前という最強の魔王がいる。それは5〜10倍の大きさのドラゴンの魔王だ。もし余力を残して討伐できれば、君達にも神々の底辺くらいなら屠れるだろう。それができれば、全てを話そう』

 

「ユウキ様ー♪どうしますか?ー♪」

 

「ドラゴンぶっ殺せばダンジョンにもっとサービスしてくれるならやるけど、今は敵と戦ってるし、後回しかな?」

 

『ふむ、マスター登録をしてあるコアは僕にも改造が出来ない。だからもう一つダンジョンコアを報酬にするのはどうだい?ダンジョンコアとマスターは魂で繋がってる。もしもダンジョンコアが破壊されたらダンジョンマスターは死ぬ。ツインコアなら残機プラス1だ。完全な不老不死に設定すればダンジョンコアが破壊されない限りは死ぬことは無くなる』

 

「えー!?ダンジョンコアって私の命だったの!?」

 

『そうなる。もちろん各マスターも完全な不老不死になればコアが無事な限り死ぬことはなくなる。予備は多くて損はないだろう』

 

「そっかぁ、なら適当に地下通路作ってドラゴンの魔王を殺っちゃおう!女は突貫よ!!」


『やる気になりすぎてる気もするが・・・。くれぐれも死なないでくれよ』


「ドラゴンだってトカゲだから私の海くん敵じゃないもん!!」


「流石にドラゴンの魔王相手はカイ様にも危険ですー♪」


「先ずは敵の確認からだな」


こうして計画を練りつつ、細い地下通路をどんどんダンジョンから伸ばすのでした。

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