2章 フラグクラシャー

019話 逆ハーレム!?

 今日も絶好調な優姫だよ。

 

 ダンジョンの作成に成功したので、他の漂着物と住まいだった洞窟から使えるものをダンジョンのコアルームに運び込むことにしました。やるのは海くんで、赤ちゃんな私は見てるだけだよ。

 

 生活用品とか使えそうな物を難破船からダンジョンへ運び入れていると、乗船していた人も打ち上げられていたので、立派なお墓は無理でも最低の弔いくらいはしようと思います。

 

 ダンジョンコア以外には宝石とか財宝もないし、水没していて使える物は少ないので、私は打ち上げられてる人達を調べようと思います。

 

 打ち上げられてるのは数人なので、すぐ終るかなと思っていると、やっぱり冷たくなってて持ち物もまともな物がありません。

 

 次に調べた、チビで横に広めでがっちりのテッペンハゲだけど髭の濃いお爺さん、まさにドワーフがまだ温かい!?つまりは、死にかけだけど生きてるみたい。

 

「海くんこれ生きてる!」

 

「死にかけか、治療設備も道具もないし楽にしてやるために、爺さん?だし殺しとく?」

 

 海くんは他人の生き死にとか、辛いとか分からないから酷いことを言ったりもするけど基本は優しいと思う、ちょっとリアリスト過ぎるげとさ。


 殺そうって私が言えばやると思うけど・・・あれ?本当に優しいかな?

 

「人命救助だよー」

 

 流石に助けられるのに殺したらダメでしょ。食糧も魚とオークで困らないしね。

 

「それもそうか、最低限の応急救護しか出来ないだろうがやってみるか。後遺症とか残ってもそれが運命だろ」

 

 やっぱり海くんは優しいね。医者じゃないしアフターケアまでは無理なのは仕方ないね。

 

「おーい、聞こえるか?おーい」

 

 海くんが声をかけると返事がない。屍の様だ。・・・あれれ?死んでた?楽にしてあげる?

 

 海くんがさわってケガの確認して心肺機能を確認してのね。

 

「ケガはないが心臓は動いてるな、けど呼吸停止してる、ギリギリか?」

 

 心臓は大丈夫だけど呼吸がないってヤバイね。やっぱり屍?介錯してあげるべき?

 

 仰向けにして気道の確保をして・・・呼吸がないってやっぱり屍?

 

 海くんが人工呼吸を始めると・・・海くんのファーストキスなのでは?人命救助はノーカン。そうに決まってる。そうイケメンのキスが私よりこんなのが、先とかありえないからね。

 

「げほっげほっ■■■■!」

 

「何言っての?」

 

 海くんツッコミ違うと思うよ。海水吐いてるって!!ん?蘇生してる!?

 

「げほっげほっ■■■■、■■■■!」

 

 ドワーフのお爺さん生き返った!!よく嵐で打ち上げられて今まで生きてたね。

 

「海くんってサバイバル系は凄いね」

 

「どうする?蘇生したし、あれ解析したいし放置でいいよな?サバイバルというか救命措置の基本中の基本だぞ」

 

 海くんはドワーフよりもコアの解析の方が興味あるみたい。ところで今のはキスにカウントですかね?救命措置はノーカウントだよね?そうだよね?海くんどうなの?

 

「救命措置が出来るなんて驚きだよ。私はやり方も知らなかったよ。なんとかコミュニケーションとれないかな?」

 

「■■■■■■■■■」

 

「原住民達の言葉は本当に難解だな、いくら聞いても意味が分からないな、どうでもいいから興味もないけど」

 

「私も全くちんぷんかんぷんだしどうしよう」

 

「■■■■■■■■■」

 

 ドワーフぽいお爺さんが近いて来たので海くんが私の前に立ちはだかる。

 

「■■■■■■■■」

 

「こんな時はきっとダンジョンでどうにか出来るはず、だって日本語でダンジョンメニュー表示されてるしね」

 

 なぜかダンジョンメニューを理解出来るダンジョンは便利すぎるからね。

 

「建築は出来ても翻訳は全く違う気がするが、理屈が分からないし出来るかもな」

 

 とりあえずダンジョンメニューが使える所まで移動する。

 

「■■■■■」

 

 ドワーフぽい人は何言ってるか分からないし、サクッとシカトして、ダンジョンメニューからダンジョン運営用アイテムを見ると、それっぽいのあった!!

 

 魔物意志疎通リング、これはドワーフは魔物なのか?これはダンジョンの魔物に指示出すためのアイテムなのでは?作品によって微妙だけど、ほぼドワーフは人扱いかな?でも他にそれっぽいのないし試してみるかな。魔物語を喋れるのかな?いや、あの踊り食いするオークに知性感じなかったから言語には無理かも。

 

 装備出来るのは、マスターとサブマスターとフロアマスターだけ、でも魔物をダンジョンで使えば必要な物だし、気にせずDP交換で2つ選ぶ。

 

 マスター用装備品として目の前を選択すると目の前に銀色の指輪で紋様が内側に掘ってある肉厚な指輪が置かれる。

 

「これでダンジョンの魔物とは意志疎通が出来るみたい、1個どうぞ」

 

「ありがとう。指輪か厚くて邪魔だな、チェーンで首にかけれるかけるか?紐で十分か」

 

 海くんはエルフに貰った紐でリングを結んで首にかけて服の中にしまう。

 私も同じように結んで貰って首にかけて貰う。海くんはリングに興味津々でドワーフと会話するつもりは無さそう。

 

 それでも私が襲われたりしたら絶対助けてくれるという信頼が、この2年で私にはある。海くんは、マルチタスク能力なのか、何か一つに集中してても周囲への注意力か下がらないし聞いてないようで完璧に覚えてるしね。


 自信ないけどあらゆる事を完全記憶してるのじゃないかな?

 

「何をしておるのじゃ?」

 

 ドワーフのお爺さんの言葉が理解出来るから話しかけてみる。音はわからんけど意味は分かる。これは不思議すぎる。

 

「こんどは分かる?」

 

 たぶん日本語を喋ってるつもりだけど現地語になってる!!マジでダンジョン凄すぎるよ。

 

「分かるのじゃ、改めてワシはヴィシリアじゃ。あの船の護衛として雇われたBランクの冒険者パーティーの一員じゃ。助けて貰って感謝しておるのじゃ」

 

 ペコリとヴィシリアは頭を下げる。


 改めて見るとボサボサだし落武者のヘアスタイルだなぁ(笑)

 

「ここはどこじゃ?」

 

「浜辺でエルフのいる森の近くだよ。地名は知らない」

 

「そうなのじゃな。もちろんこの礼はさせて貰うのじゃが、仲間も行方不明で探さねばじゃし装備も仕事も失ったのじゃ、何でも手伝うから住まわせてもらえんじゃろか?」

 

「いろいろ考えてさせて下さい」

 

 お爺さんだけども背の小さな種族だからロリコンだろうか?ドワーフの女性はパターンが多いから判断が難しい。

 

 そもそも私はエルフだから対象外・・・それはそれでムカつくな。というか私的にテッペンハゲは厳しいな。

 

 海くんがいるし大丈夫だと思うけど、Bランクが強いのか弱いのか分からないから少し心配もある。作品によってビミョーなランクなんだよ真ん中だったり強者だったりさ。弱くはないけどインフレにおいていかれたりさもするし。

 

 しかし出会う人がイケメンの次が好感度高そうな、お爺さんって逆ハーレムなのか?

 

 私って、モテ期かな?しかし二兎を追う者一兎を得ず、お爺さん恋愛フラグは折るべきか?でも海くんの子供ポジションだしキープか?悩むな~。

 

 肝心の海くんはリング調べてるよ。ということはお爺さんは安全?つまりは、対象外に見られてる?


 ・・・結論は、なんかテッペンハゲでモジャモジャ不潔なのに対象外なのはムカつくな。

 

 私の思考はブラックに染まっているのであった。

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