095話 魔王殺し
挨拶?今は邪魔なの!海くんの勇姿を見るのに忙しい優姫です。
『出し惜しみはなしだ!魔王殺しの俺を嘗めるな!!!』
ゲーヘルが叫ぶと盾が独りでに浮かび上がり重なっていたのか前後2枚に別れてゲーヘルと海くんの間に壁となり強制的に接近戦を終了させる。
「ポルターガイスト?それは反則じゃないかな?とにかく海くんやったれ!」
「単独で魔王殺しですか。冒険者なら最低でもSランク、勇者クラスはあるのでは?カイ様といえどお一人は厳しいかと思います。」
「カイに純粋な力比べ以外の方法でここまで戦える事がありえないよ。魔王殺しくらいじゃないと説明つかないや」
「そこまでの情報は光陣営でしたし分かりませんでしたー♪カイ様に謝らないとですー♪」
キアリーさんは魔王殺しの発言にビビってサイオンは納得とネイの部下達が怒られないといいな、エレンティアはカルチャーショックなのか半ば放心して戦闘を見つめてます。
しかし次に私達に続く言葉はなかった。
2枚の盾の中央からレーザーが発射されて、海くんは急所こそ守ったけど、大ダメージなのは間違いないからだ。
『魔石の消費が激しいがそのぶん強いぜ、雑魚と言ったこと後悔させてやる!!』
レーザーは光魔法を中心のパーツに付与し浮遊もいろいろと魔道具を組み合わせてコーティングして盾にしているのだ。仕組みは電磁力学とか魔力作用とか複雑怪奇なのだがゲーヘル本人も分かっていないが、なんか出来たというやつだ。
さらにゲーヘルはガトリングガンで海くんに追撃をしていく。
海くんは盾が邪魔でゲーヘルに近寄れない。
『あの女をどこにやった?ダンジョンマスターはどこだ?言えば楽に殺してやるぞ!!』
バンバンバンバンとガトリングの銃声とゲーヘルの勝ちを確信した叫びが響きわたる。
海くんの身体のキレは全く落ちて無いように見えるけど、こんなに大きなケガしてる姿は初めて見る。
正直、海くんの助けた女の子は冒険者ギルドが保護したので作戦は半分成功、威力偵察ということで帰って来て欲しい。ポーションで回復も早くしないと心配だよ。
『雑魚はギャンギャンうるさいな、自分から弱点しゃべるとか馬鹿だなぁ』
『何が弱点だ。魔王に勝った俺に殺されるのはキサマなんだよ』
『はぁ、自覚すらないのか、殺せるなら早くやってみせろよ』
『ふざけるなよ!?てめぇは女共のエサなんだよ!早く死ね!!』
「武器は強いけど、武人としはダメだね。あんなに簡単に煽られて怒って攻撃を単調にしたら当たるものも当たらないよ」
サイオンの言葉に珍しく戦闘中で遊んでないのにしゃべってる海くんの理由に気がつきます。
「確かに海くんが煽ってるのは珍しいね」
「カイ自身はよっぽどじゃないと動揺しないみたいだから、自分に効果がないと敵に効果がないか少ないと思うみたいで、煽りの言葉で情報が読まれるくらいなら黙ってるみたいだよ」
「海くんらしい理由だね。情報とか、弱点強さはなるべく調べてるし、逆に相手に隠してるんだね」
でも、あそこまで簡単にキレるなら煽るのもありなんでしょう。
サイオンは海くんが追い込まれてるように見えるけど心配していない様子なので本当に攻撃が海くんには当たらないみたい。確かにかすり傷も減ってるね。
海くんは、少しずつ回避しながら、後退し角を曲がって上手く死角に海くんが逃げ込むとポーションを一気飲みして、待ち伏せをします。絶妙な位置取りで弾丸がギリギリ貫通しないし、破片も当たらない所にいます。
見切りというか予測というかもはや予知、既知といったレベルじゃないかな?ゲームなら5周目くらいのやり込みだね。そしてみるみる海くん怪我はポーションで回復する。
海くんは、腰を下げてゲーヘルを待ってる。
そしてゲーヘルが角を曲がる直前、完璧なタイミングで海くんは、銃声に紛れて音も消して、天井に向けて飛び上がりながら反転、天井に両足を着けてそのまま天井を蹴ってゲーヘルの真上から重力と脚力を利用してサバイバルナイフによる奇襲をかける。
ゲーヘルは下やさらに先の角などに注意が向いていて、真上からの海くんの奇襲に気が付くのが遅れ、迎撃に失敗する。
それでもゲーヘルは浮遊盾を使い、ギリギリ脳天にサバイバルナイフが突き刺さるのは回避し、浮遊していた盾1枚を犠牲に片腕を切り裂かれるだけにダメージを抑える。
『痛っいな、だが俺は負けねぇ』
ゲーヘルがポーションを傷口にかけると流血は止まってしまう。傷跡が消えないから海くんのよりは品質が悪そうだね。
『それだけ武器あってまともに当てれない奴に言われてもな、死ぬのはお前さ』
『その余裕を消し飛ばしてやる!!こうなれば最後の切り札だ、魔王を殺したこの一撃避けれるなら避けてみやがれ!!』
ゲーヘルは浮遊盾に続く偶然の産物で作られた武器を取り出す。
ゲーヘル最大攻撃それはレールガンである。
仕組みは単純、電力をレールに触れて挟んだ発射体に電気を流す。
このとき、ローレンツ力により加速される。
レール強度や大電力による発熱レールの摩擦による磨耗など問題は無理やり魔道具を使い回して解決した。それでも大型化と魔石の消費により一発しか撃てない。
大電力の供給は魔力(魔石)はエネルギー密度が高く、また瞬間的に全てを消費可能である点と電気エネルギーの他のエネルギー変換が行い易いという点が重なり偶然解決されていた。
それでもエネルギー変換効率は悪く大半は電気エネルギーに変換されず逃げてしまうが、それでも火薬武器を大きく上回る威力と瞬発力を持っている。
大量のDPがダンジョンの収入となると同時に、ゲーヘルの残りの荷物の大半を占有していたレールガンを発射される。超音速弾頭が凶悪な破壊力を秘めた衝撃波を伴ってダンジョン内の狭い空間に破壊をもたらし、至近距離にいた海くんもろともダンジョンに破壊をもたらした。
『これで死んだはずだろ、はぁ女の餌になる程度は死体残ってるかねぇ』
衝撃波のダメージはゲーヘルにもあったが、なるべくダメージを受けないような立ち位置にしていたのと、浮遊盾を犠牲にしたこと、奪っていた魔道具による防御力で生き残ったのだ。
そして海くんがいた場所には何もなく海くんも消え去っていた。
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