177話 見つけた!!
海くんって本当に映画の主人公みたいにかっこいいな。見惚れてる優姫だよ。
海くんは地下牢を一つずつ確認して、生きて居たら開放してる。
もちろんマスターキーはアンチマテリアルライフルだよ。鍵も鎖も扉も全部、アンチマテリアルライフルでぶっ壊してる。中の人危なくない?
『助かった、礼はいつかする。あんたも死ぬなよ』
『次いでだ。それに逃亡してくれたら追手が分散するからな』
『そうか、なら逃亡することがあんたへの礼だな。任せろ』
『好きにしろ』
海くんは冷たいようだけど、お礼がいらないって言うあたり優しいよね。私ならふんだくるよ。
そして、何度か繰り返していると、一つの牢の前で、海くんは立ち止まる。
「・・・・・・」
そこには女性の尊厳を踏みにじられて、意思を無視されて、暴力と欲望にさられた少女だった物が鎖に繋がれたまま放置されていた。
衣類は無惨にボロボロで冷たい地下でどれほど酷い目にあったのか、それを口で語ることはない。
海くんは地下牢の鍵をアンチマテリアルライフルで破壊する。そして牢に入ると、ミュウニーちゃんの遺体にダメージが増えないように繋がれた鎖も外していく。
「・・・・・・」
「ユウキ様?大丈夫ですか?」
「・・・・・・うん、大丈夫」
海くんがミュウニーちゃんを開放すると、魔法で氷漬けにする。これでこれ以上遺体が傷むことはないだろう。そして海くんは上着をミュウニーちゃんの遺体にかけてあげる。
「ユウキ様?後の連絡役は私がやりましょうか?」
「辛いけど、逃げないよ。女は突貫!!許さないから!私の大切を奪うなら・・・神だって許さない」
「ユウキ様本当にお休みになられても大丈夫ですよ?」
「キアリーさん、平気なんだよ。前世では家族も病気だけど亡くしたし、死に直面するのは初めてじゃないから。・・・たぶんね、私はこの世界に初めて興味を持ったよ。今までは宗教とか興味なかったけどさ、今からは違う」
海くんはミュウニーちゃんを背負うと残りの生き残りも開放して回ってて、全てを開放すると施設から出てエレンティアと合流するために移動を始める。エレンティアが無事なのも確認してるし、今のところ、現場は大丈夫そうだよ。
「それは復讐をするのですか?」
「復讐?う~んとそうだけど、ちょっと違うかな。確かに許さないよ。でもやり返したり倍返しがしたいわけじゃない。ミュウニーちゃんはきっと私達が勝つために頑張った。だから辛い目にあった。人としても女としても全てを奪いつくされた。そして殺された。だからさ、何があっても私は負けない!!こんな理不尽な世界なんかに負けてなんかやらない。絶対に負けない!!それが私に出来るミュウニーちゃんへの唯一の供養だと思うから。そう私は初めて敵として認識して世界に興味を持ったよ」
「ユウキ様?本気ですか?神々も国も教団も全てを敵にするつもりなんですか?」
「そうだよ。私がどう思われようと、関係ない。私は私の家族と大切な人を私から、奪った奴を許さない。他の有象無象なんてどうなろうと知らない。こんな神託を下した神が私の敵なの。敵に味方する奴らがどうなっても知らない。きっと許しを請い叫んだと思うミュウニーちゃんをあんなにした奴らなんか知らない。でも降伏するなら殺しはしないよ」
「それはかまいませんが、ステータスを失って勝てるとは思いません。ダンジョンだって混沌神マゼマが作ったと言われていますよ?」
「女は突貫なのよ!最悪の場合は魔物を全部地上に開放してしまうだけよ!!」
「それは降伏もなにも、本当に大陸が魔物に支配されてしまうのでは?」
「知らないもん!!私悪くないもん!!負けないもん!!そうだ、ダンジョンが使えたら、地下都市だけ残して地上を殲滅したら神の影響力無くならない?」
「最後の最後、奥の手にしてください。本当に最深部のタランクトとゴブリンはSランクが何体も居るのですよ?滅ぼしたら流石に私も気が滅入ります」
「あー、冗談だよ。でも本当に負けてなんかやらない。絶対に諦めない。何があっても最後の血の一滴まで女は突貫あるのみよ!!」
「なんでしょうね。言ってることは凄い覚悟しいるリーダーのそれなのですが残念感が漂うのは?」
「キアリーさん、酷くいよ。戦争はは海くんに任せるから先ずは海くんとエレンティアのお出迎えと、ミュウニーちゃんの御葬式の用意しないといけないね」
「ユウキ様への心配は無用でしたか。それではコーヒーのおかわりいりますか?」
「お願いします。御葬式ってさ何するのかな?やっぱりお経??やっべぇ分からん。それにお経は仏教か、キリスト教は何だっかな?賛美歌?聖歌?・・・なんにしても、出来ないや」
キアリーさんに新しいコーヒーを注いで貰い質問します。
「そもそも、ユウキ様の前世の事なので何も分かりませんよ。簡単に神に祈りを捧げて冥福を願うくらいが一般的です。」
「海くんも知らない気がするね。うーん、とりあえずウレナイさんに相談かなぁ?」
「それが良いと思います。」
こうして私はこの戦争で専守防衛ではなく、攻勢に転じると決めました。
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