176話 スパイ大作戦

 はわわわ、海くんが心配で寝不足な優姫だよ。

 

 

 海くんとエレンティアは、何日かテロ行為を行い、ついでに刺客を半殺しにして尋問しました。海くんとエレンティアのコンビ、怖すぎる。

 

 だってさ海くんはまるで野菜刻むみたいに刺客をの手足の指から切り落とすし、エレンティアが治療して出血死は防ぐし、斬るとこ無くなると生やすからね。

 

 毒飲んでも、舌噛んでも、何事もないように回復させられた刺客の絶望的な顔ときたら、ちょっとかわいそうだったよ。

 

 それでも喋らない人もいたのに驚きだけどさ。そんな覚悟してる密偵も海くんの手料理(念の為持ってた保存食)食べると、何でもベラベラ喋ってたよ。エレンティアの気付け魔法で気絶を許さないのは凄まじいよね?あれは耐えられないや。そしてお目当ての情報はないけど、手に入れた敵の配置とかで、狙撃に移るからね。

 

 そして海くんは、エーレス王国のとある街に尋問用の施設があると情報を得て侵入を始めるつもりみたいです。

 

 2日間張り込んで、見張りの体制を確認した海くんは、見張りが交代した直後に潜入時間を定めて今日が決行日です。海くんは単独で忍び込み、私が見ていてピンチになったらエレンティアに連絡して海くんを救出する作戦です。

 

 海くんには私が見るために、専用のアイテムを持ってもらってます。

 

「海くんのために頑張るぞー!!」

 

「深夜ですから、コーヒーをお持ちしました。少し濃い目のブラックです」

 

 湯気の立ち昇るコーヒーは苦いけど、カフェインで眠気を吹き飛ばしてくれる。

 

「キアリーさん、ありがとう。一緒に海くんを見守ろうよ」

 

「カイ様がピンチに陥るとは思えませんが念の為です。私もお供します。」

 

 海くんは見張りに気が付かれることなく、近づくとほぼ無音で門番を気絶させます。たぶん後頭部に一撃を入れたのだと思う。

 

 そして首を曲がったらいけない方向に曲げて止めを指すと死体を隠して窓から侵入する。

 

 そこは無人で、明かりもなくてほとんど見えないけど、海くんは鍵にピッキングして廊下に出る。

 

 明かりがついてる部屋を見つけて、鍵を確認すると開いてる。素早くなのに無音で侵入する。そこには男が一人机に向かって何か書いている。

 

 男の首をロープで締める。あっという間に動かなくなり海くんは、ちらっと確認して明かりを消して、扉を締めると今度はピッキングで鍵をかける。

 

「うわぁ、海くんが凄いし情け容赦ないのは知ってたけどさ、これはまた違う方向で強くない?」

 

「暗殺技術は知りませんが、カイ様より上手い人はなかなかいないと思います。」

 

「だろうね。まぁ地球の軍隊の特殊訓練受けたらしいし、鍵も有って無いような物だね」

 

「ユウキ様の前世方が、よほど修羅の国だと思います。」

 

「ん?軍人さんは凄いけど、民間人には攻撃したり、略奪したり、捕虜を奴隷にしたりすると違法だからね。それに戦争すると世界が滅びかねないから比較的平和だよ」

 

「???なんだか不思議なところです。どうしてそんなことになるのでしょうか?」

 

「んー、やっぱり虐殺とか、ダメって思うからじゃないかなぁ?理由までは知らないや」

 

「なるほど、優しい世界なのですね」

 

「たぶんね。戦争よりも交通事故とか別の死因が多いし、優しいかは比べれないよ」

 

「そうですか。カイ様が、地下階段を見つけました。もし捕まった人間がいるなら地下牢でしょう。」

 

「なんで地下牢なの?」

 

「脱獄対策でしょう。出入り口も絞りやすいですし、昼夜が分からなくて、換気しなければ淀んだ空気、拷問には向いています。幽閉など滅多にしませんから、基本は短期間入れる罰目的ですからね」

 

「あれか、生かす刑罰よりも極刑なのね。何とか生きてて欲しいけど、大丈夫かな?」

 

「カイ様を信じましょう。」

 

「そうだね」

 

 海くんは鉄格子の手間にいる見張り二人も無音で、殴り倒すと首をおかしな方向に向けて絶命させる。

 

 海くんは鉄格子の鍵に、ピッキングを仕掛けてやめる。そしてアンチマテリアルライフルを鍵に向ける。

 

『これは無音は無理か、ならマスターキーだよな』

 

 海くんは呟くとアンチマテリアルライフルで鉄格子の鍵をぶっ壊す。もちろん凄まじい音が鳴り響く。

 

「開いたけどマスターキーじゃないよね?」

 

「どんな、鍵も開けられそうですからマスターキーも間違いないかと思います。」

 

「二度と鍵として機能しなくなるけどね」

 

 それでも街から離れた施設だし、上の人間は海くんが、かなり暗殺してて残ってないのか上より地下牢が騒がしい。

 

 海くんは鉄格子を蹴破ると目的のミュウニーちゃんを探そうとする。そこに数人だけど上から完全武装した敵がやってくる。物音いや破壊音に飛び起きたらしい。

 

 海くんは散弾銃に持ち替える。散弾銃は名前の通りに発射された弾丸から小さな弾をばら撒く銃で、貫通力は下が るけど跳弾の危険性が低くて何より面攻撃を可能にするため狭くて至近距離ならそもそも回避不能らしく、海くんもゲーヘル戦で嫌った武器です。

 

 それを入口に数発撃ち込み敵の先頭を倒すと、アサルトライフルに持ち替える。どうしても銃の性質として離れると弾丸の速度が落ちて威力も下がるらしい。


 逆に至近距離ならアンチマテリアルライフルを使わなくても、アサルトライフルでステータスをぶち抜いて余裕で倒せるみたいだね。

 

「海くん敵にバレても余裕で勝てるね」

 

「不利にならないようにかなり殺してますから、その成果です。カイ様は無闇に突貫しない良いお手本かと思います。」

 

「あれ?なんか私怒られてる?悪いことはしてないつもりなんだけどなぁ」

 

「ユウキ様はもう少し後先考えて欲しいです。」

 

「あははは、善処します」

 

 私達が心配してたのが何だったのか呆れるくらい無双してた海くんは、最後に上から来てまだ混乱してる敵にアサルトライフルの銃弾をプレゼントする。階段を血みどろにかえて、全滅させる。そしてゆっくりと地下牢の探索に向かったのでした。

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