036話 間話 孫オバカ即位

 シバル王国の元女王ネイが優姫の元を訪れる1年前に遡り、シバル王国の王位継承の話しとなります。

 

 

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 シバル王国の貴族達から利権を奪い、権力を低下させ中央集権を行い、絶対王政に近づけた王も歳には勝てず96歳でこの世を去った。

 

 王の長男は先だっており、王位継承権は孫であった。

 

 孫の名をオバカ、異世界なので名詞のみ音であり、お馬鹿と言っても王の名前と被ることはない。

 

 案外に意志疎通リングは優秀である。決して作者の意地悪でも手抜きではない。

 

 貴族達も千載一遇のチャンスを逃さないべく準備をしていた。オバカを甘やかし、政治を知らなくて良いと愚民政策ならぬ、愚王政策を作り上げ傀儡政権とするという事だったのだ。

 

 有力貴族達はオバカを御輿に担ぎ上げ、他の王候補を押さえオバカを即位させることに成功した。

 

 何事も想定外は起こるもの、物語なら新王オバカは天才で能ある鷹は爪を隠す、即位したら素晴らしい政策を行うのだろう。

 

 又は王位を利用して遊び呆けて、国の運営つまり政治権力を貴族に丸投げするだろう。普通のよくいたであろう王の姿かもしれない。

 

 オバカは斜め右下に想定を外した、つまりやる気はあるのだが、究極に無能だったのである。無能になるようにしたのは取り巻きの貴族であるが、やる気は想定していない。

 

 貴族達は先ず金を得るために税金の貴族取り分を増やすためにこうオバカに進言した。

 

「オバカ陛下、税金の使い道が偏り過ぎて王都は潤っておりますが地方の民は貧困に喘いでおります。つきましては地方に詳しい貴族に活性化のため税金を使う許可を下さい」

 

 貴族達で話し合い、私服を肥やすことが出来る内容の法案でサインするだけで発行出来るところまで作られた用紙をオバカに渡す。

 

「わかった。読んで問題がなければサインしよう」

 

 その後変更もなくサインされたのだが、オバカはついかで新しい法案を作ってサインしていた。

 

 地方の民のために王都民と貴族の税を50倍にして地方の民に配る。

 

 やる気はある、民思いのいい人なのだ。

 

 だが無能でお馬鹿なので加減とか建前なんて理解しないのだ。数字はもちろん適当で収入より税が多くなるのだがそんなことは知らないのだ。

 

 もちろん50倍にしようものなら無一文になっても税が払えない者が続出するし、貴族も財産を売却しなければ払えない。

 

 前王の中央集権のためサインするとオバカ以外は変えられないという事態になり大変混乱した。

 

 またあるときは川の護岸工事を行う予定の貴族は王家に資金を肩代わりさせようと陳情した。

 

「オバカ陛下、民を洪水から守るため川の護岸を強固にしようと思います。つきましては資金の援助をお願い出来ませんでしょうか?」

 

「洪水とはなんだ?」

 

 オバカは洪水を知らなかったのである。無知とは恐ろしいものである。

 

「川の水が溢れ街や村を押し流し田畑をも使えなくする災害にございます」

 

「それは大変ではないか!その工事を全てで行うべきであるな!今日から工事を始めなければならない君の全責任でやりなさい。今から命令書を作る少しだけ待て」

 

 資金の援助とか忘れており、もちろん労働者も足りない今からやれだけの命令だと進言した貴族が全部用意である。

 

 今の時期は農作業をしている民を使えば食べ物が生産出来ず飢えに苦しむ事になる。

 

 貴族達はオバカに説明し理解を得るために大変苦労した。理解はされていなかったが。

 

 サインをするだけのはずの書類が帰ってくると、落書きがされて無効になっていたり、お目付け役を送り込めば、ひたすらしゃべりサインすらしない。

 

 さらにこんなことは日常茶飯事である。

 

「オバカ陛下、謁見者のお願いは我々が対応しますので、全て我々にお任せ下さい」

 

 貴族が謁見直前に進言する。そして謁見が始まる。王家の実務担当者が貴族の横領で上がった税を戻そうと会議ではなく謁見で訴える。

 

「オバカ陛下、シバル王国の民のためにどうか税をお下げ下さい」

 

「わかった。税は無しにしよう。貴族も今から税は無しだ」

 

「それでは国家運営できなくなります」

 

 三歩歩けば忘れる鳥頭、鳥人の国なので翼が背中にはあるが基本バカじゃない、考えない覚えない人それがシバル王国の新国王オバカである。

 

 この後貴族は税の大切さを伝えて説得すると、今度は税を爆上げしようとして更なる貴族達は説得が必要になった。

 

 貴族達のストレスは溜まりに溜まり、マジギレを起こさせるのは時間の問題であった。

 

 ちなみに民を思いやる気はあるがプライベートはきっちり確保するので、仕事が終わってなかろうと、説得や説明の途中でもブッタ切り食事と、後宮に行くのである。

 

 もちろん、終わったことなど振り返らず次の日も同じことをする。

 

 ちなみに日課は、執務室でサインする書類を無視して、レクレーションを考えて貴族達に役割をふることである。

 

 内容は演奏会だと

 

 宰相   オルガン

 将軍   指揮者

 財務大臣 ギター

 外務大臣 ハープ

 曲    面白いの

 

 貴族のやりませんからと説得を試みるが失敗するとレクリエーションは行われる。なぜなら近衛兵がまだ新王に忠誠を誓っているから武力で敵わないだ。反乱者として処罰されては困るのだ。

 

 ちなみに行われたレクレーションを観賞したオバカはボロくそに行って貴族達のプライドをボロボロにしたらしい。 


 傀儡でもあまりに無能だと大問題になるのであった。

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