087話 出会い頭
おはようございます。深夜に警報に起こされたせいで、寝坊した優姫だよ。
海くんがダンジョンメニューで侵入者を監視しているのを横目に遅い朝食を食べ始める。
「今は緊急事態だと思いますー♪ユウキ様は余裕すぎですー♪これが侵入者のゲーヘルの情報ですー♪」
ネイがまとめた資料をもらいます。
「へー純粋な人間って海くん以外で初めてだね」
「そういえばカイ様は人間でしたー♪同族でもカイ様は大丈夫なんですか?ー♪」
「敵だろ?なら殺しても問題ないな、心配しなくても確実に不可逆的な滅ぼし方をしてやるさ」
なんだか意味なくカッコいい言い回しだね。死ぬどころか、蘇生も絶対に出来ない殺し方になりそうだよ。
「頼もしいですー♪」
「カイ様を頼りにしています。」
「カイ、カッコいい、さいこぅ」
サイオンは一晩たってもまだとろけてるよ、仕事の監視は大丈夫かな?
「ん?どうやら魔物と戦う前に対人戦を見せてくれそうだな」
ダンジョンメニューから深夜に女の子を起こしてお肌が荒れさせる女の敵な男・・・じゃなくて女の子の尊厳を踏みにじる最低男こと、ゲーヘルを見ます。
「うーわっ、よりによってソロの女冒険者じゃん。海くん、もしもあの子もゲーヘルに捕まって、生きてたら彼女も助けてあげれる?」
「1人も2人大差ないさ」
「パパありがとう」
「同じエルフでも味方じゃなければ気にしないユウキ様は、同族を容赦なく殺せるカイ様に似たのでしょうか?」
「赤ちゃんの頃しかエルフの人達と会ってないし仲間意識ないよ」
私のグロ耐性は前世の頃には、いろいろな作品に鍛えられて完璧だし、最近はちょっと村に来たくらいの人はDP資源が増えたくらいに思っているしね。仲間と家族以外はどうなっても気にならないかな。
でも積極的に奪ったり、かわいそうなのを放置したりはしないが無理なら仲間と家族を優先するよ。村人はよく眺めているので愛着があるけど、このソロ冒険者は知らないので、助けられたら助けるくらいである。それでも同じ女の子として、無事なら嬉しいのは間違いない。
「あれはエレンティア、いつもソロで活動してるDランクの冒険者ですー♪エルフの男爵の依頼で手紙をユウキ様に直接渡すためにー♪腕がありエルフの女の子で年齢が近いから選ばれて来た冒険者ですー♪」
エレンティアもミュウニーちゃんとがっつり会話しているし、ダンジョントンネルに影響するエルフの男爵がらみなので情報は当然、ネイに届いている。
「へぇ、めんどくさいなー。もうさ助ける前にトンネル作っちゃおうかな?」
「もう少しでー♪ハゲエルフの男爵にー♪腐った小麦粉水をー♪頭に付けさせれるからー♪待って下さいなー♪」
「何かトンネル開通させた方が優しい気がする」
「そろそろ始まるぞ」
テレビ感覚でエレンティアとゲーヘルの戦いを見ます。
「頑張れー、エレンティア」
エレンティアを応援しましょう。あんなクズ男を応援する理由もないし壁の修復もタダじゃないんだぞ!!
ゲーヘルはエレンティアの足音に気が付き、角から出たところを銃で狙って足を止めて構える。
それに対してエレンティアは、すでに臨戦態勢で両刃の大戦斧を5本ジャグリングしている。
探知スキルでゲーヘルを先に認識して、敵対的な存在と判断しているからだ。
「エルフがそれはなくない?」
見るからに大男が両手で振り回すサイズの戦斧である。その戦斧がエレンティアの周囲を高速で変則的に旋回している。
「見たことないスキルです。斧技と投擲技の合せ技だと予測します。」
キアリーさんが知らないみたい。
「あれは知ってるよ。戦闘用スキルじゃなくて、行動系の曲芸で、大道芸人が帝都で披露してオヒネリ貰ってた。斧技と投擲技も高くないと戦闘は無理だと思うけどね」
「エルフって魔法使いじゃなかったけ?」
「体質的には魔法が向いていますよ。」
「なるほど、おっエレンティアが先制攻撃だね」
エレンティアの戦斧の一本がゲーヘルに向けてカーブを描いて角を曲がり再び直進しながら飛んで行く。
物理法則無視してない?という軌道である。誘導ミサイルみたいな有り得ない事になってる。
『クソがっ!!』
バン、バン、バン、と銃撃が戦斧に命中し軌道がずれて壁に突き刺さる。そこにすぐさま次の戦斧が飛んで来て突き刺ささってる戦斧の柄に命中すると抜けて二本ともエレンティアに向けて飛んで行き、何事も無かったようにエレンティアは戦斧5本のジャグリングに戻る。
いやいや、銃もヤバいけどあの戦斧おかしくない?これはエレンティアの方が強いかも!?これホントにDランクなの!?ヴィシリアより強いよね?
ゲーヘルは導火線に火が着いた筒、たぶん爆弾を投げる。ドーンと爆音と光と煙を発生させる。
エレンティアはジャグリングこそ止まらないものの爆音に耳鳴りと視界を失ってそう。
「スタングレネード系の武器か?爆風の威力は小さし、金属片は仕込まれなさそうか。殺傷範囲は狭そうだな」
海くんが難しいこと言ってるけど、分析は任せましょう。
ゲーヘル自身のステータスがないために、投げれる距離も近いし、ステータスがある人間やステータスこそないが、肉体が圧倒的に強い魔物にダメージが与えられる爆弾では、ゲーヘルが自爆してしまうために、威力を抑えて驚かせ注意をそらせる程度しか使い道がない。
ゲーヘルは知らないが大賢者レントは凄まじい爆発を起こす大魔法の使い手なので、当時の人々も含めて割りと大爆発には慣れている。
そのためエレンティアは音だけ?みたいな気持ちでいる。
そんなことに優姫ちゃんは全く気が付かない。
エレンティアの戦斧が反撃として再びゲーヘルに向かうことでゲーヘルも爆弾は効果が低いことに気が付き、戦斧を銃撃で迎撃して振り出しに戻るのであった。
「エレンティアに銃弾が届いたら負けちゃうのかな?今のうちに逃げれは良いと思うけど、どうするのかな?」
「まだ様子見ですから、逃げる判断はしないと思います。」
「そうなんだ、戦いは難しいね」
このままでは状況が変わらないとエレンティアが動き出しました。
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