101話 閑話 うわぁ

 エレンティア side

 

 

 ネイが事前の打ち合わせで、言うとおりに男爵に伝えたらマジ泣きしててドン引きして、しかもいい感じに誤解してて涙拭いたら、カツラがずれて笑いをこらえたり大変だった。

 

 けれども現在、衝撃度でカツラズレをユウキちゃんの方が上回って来ました。

 

 それはこんな話しから始まりました。

 

 

「エレンティアって大賢者だし魔物も詳しい?ダンジョン防衛のためにも育ててるけど、なんか大きくはなってるけど、ゴブリンより強くならなくてさ見てほしいだよね」

 

「ゴブリンは進化してどんどん強くなるから、見てみないとなんとも言えないかな」

 

「そうなの?じゃこれどうかな?」

 

 ダンジョンマスター権限で隠されていた、魔物育成・補充用のフロアがダンジョンメニューを通して映されます。

 

「うわぁ、・・・これはヤバい」

 

 ゴブリンはEランクの魔物だけど進化の回数がとんでもなく多く、少しずつ頭も良くなり連携を覚えて、ジェネラルまで進化すると単体でCランク、キング・クイーンならBランクになり配下のゴブリンも考えると驚異になる。単体討伐でBランク、大きな集団の討伐ならAランクもしくはBランクパーティーが複数で行うレベルだ。

 

 ゴブリンは人型だから普段の訓練する人間相手に近い動きをするから、少しランクは低く見積もりされてる。

 

 それでも、キングとクイーン、ジェネラルがワラワラいる。それ以下のゴブリンは数え切れない。

 

「このゴブリンだけでAランクパーティーが複数は最低いるね」

 

「へぇ思ったより強いのかな?じゃこっちは?」

 

 同じフロアの離れた場所が写されます。

 

「マジで!?大都市でも滅ぼすつもり!?これダンジョンマスターの支配は完璧よね?」

 

 ハイタランクト系(蜘蛛の魔物)がワラワラいる。

 幼体のスモールタランクトはEランクだけど、次タランクトでDランクになり1体でも村なら大人総出くらいになる。

 

 そこから進化先が枝分かれして、物理攻撃特化のデスタランクト、防御特化のアーマータランクト、毒特化のポイズンタランクト、罠特化のネットタランクト、隠密特化のアサシンタランクトになるとCランクになる。

 

 それぞれが進化すると各種ハイタランクトになる。ここでBランクだ。

 

「命令すれば言うこと聞くよ。めんどいし放置だけどね」

 

「Bランクの冒険者はそこまで多くないわ。このダンジョンの村にも住んでるのは2人、シバル王国内のBランクの冒険者よりもたぶん、ダンジョンのBランクの魔物のがたぶん多いわよ」

 

 これを弱いと言うことにも、想定外の大戦力にもびっくりよ。カツラがズレたなんてどうでもいい。

 

「そうなんだ。海くんとサイオンにボコボコにやられてたし強いイメージなかったよ」

 

「なるほどね、ってちょっと!?あの大きいタランクト見せて!!」

 

「あんなのいたっけ?どれどれ」

 

 ダンジョンマスターのユウキちゃんも未確認の進化個体はデスアークタランクト。

 

 ハイタランクトの進化先でAランクの魔物だ。

 ここまで来ると国家戦力の投入が必要な戦術級の強さだ。こんなにすぐ見つかるってまだいそうね。

 

「デスアークタランクトってAランクよ・・・まさかゴブリンもエンペラーとかエンプレスが居ないでしょうね!!」

 

「ゴブリンはちょっと大きいかな?くらいしか見分けつかないよ」

 

「ゴブリンのところをもう一度見せて!!」

 

「はい、どうぞ~」

 

「キング、ジェネラル、クイーン、ジェネラル、ジェネラル、げっエンプレスがいるわ」

 

「エンプレス?皇后?クイーンと違うの?」

 

「王が国の長なら皇帝が王の長、王の中の王よ王の支配者が皇帝よ。つまりキングとクイーンの上よ。このゴブリンも単体でAランクね」

 

「ん?ん?ん?つまりどのくらい強い?」

 

「そうね・・・全部、野に放てば国が総力上げて軍で挑んでも、破滅の危機になるくらいよ」

 

「うげぇ、ちょっとDP節約しようと黒光りカサカサ悪魔とかガーディアンバードとか弱い魔物増やしてエサにゴブリンとか蜘蛛を増やしてだけなのに、とんでもないことになってるの?」

 

「あぁ、狭い範囲に魔物が多過ぎて戦って進化に次ぐ進化をしたのね。もう1つ進化をするとヒーローゴブリンと各種クイーンかキングタランクトになるわ。どっちもSランクでAランクとは格別な強さよ。それこそゲーヘルかカイくらいには強いわ」

 

「おおー!!もうちょいなんだね。DPが貯まったら少し広げて数をもっと増やそうかな」

 

「国でも滅ぼすつもり?」

 

「それは無理かな~、ダンジョンから出たら長くは命令を聞かないしね。ゲーヘルみたいな奴が来ても撃退出来る魔物戦力も欲しいなってだけだよ」

 

「今でも大半の冒険者は絶望しかないわよ。私も最悪ダンジョンが崩壊する覚悟で大魔法を使えば勝てるってレベルよ。単体でAランクなんだから、複数体が相手ならAランクパーティーでも厳しいわ。タランクト系は連携しないけど、ゴブリンはエンペラーなら簡単な作戦くらい使う知能と連携力、支配力があるわ」

 

「ゴブリンってもしかしてめっちゃ強い?」

 

「進化回数が飛び抜けて多いから後半はとんでもなくヤバいわ。タランクト系もクイーンが現れたらヤバいわ」

 

「タランクト(蜘蛛)はどうなるの?」

 

「クイーンなら繁殖力が高くて卵をたくさん産むから共食いが発生しまくって、特異個体タランクトが増えるのよ。私が討伐したときは、ステルスタランクトが増えてて小ささの上に進化するほど攻撃力とステルス性が上がるから手に負えないわ。しかもキングは戦闘力が高いのに、卵まで産むから最悪よ。前森ごとタランクト種を何発も大魔法で吹き飛ばしてもアーマーキングタランクトが生きててビビったもの」

 

「おお~!それなら安心出来る強さになりそうだね」

 

「もう魔王がいても驚かないわよ、とにかく魔法を研究します」

 

 現実逃避しようと心に決めた。戦力の細かい把握?恐ろしいからしたくない。この中に放置されたら大賢者でも死ねる。


 こいつらが配置されたダンジョンは攻略出来ない気がするな。

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