106話 間話 努力家
サイオン side
カイと遊んでたユウキを羨ましく思いながらも、僕の仕事に取り組む。ダンジョンの防衛は見逃しは許されない。もちろんダンジョン機能で侵入者の感知は出来るし壁を破壊するほどの攻撃も感知する。
しかしそれだけで安心はしない。魔法だって完璧ということはない。途中に中ボス部屋を抜けないと奥に行けないようにしてあるけど、ボスも生き物だから体調で強さは、変わる。病気だったり、餓えてたら戦闘力は下がる。
だから見回りは毎日している。侵入者の形跡を探すのも大切な仕事だ。
でもこれらは念のためだ。本命は防衛力の強化の案を考えたりクロスボウから、カイの銃という武器に変えるために練習したりするのが一番の仕事だ。
「おっ!うみも元気そうだね。平和でなにより、さて今日も射撃練習しますか。カイ程は無理でも足手まといにはならなようにしないとね」
そもそも弓もそうだけど遠距離武器は届くから攻撃が出来る訳じゃなくて当てられる距離とか威力が維持出来る距離とか制限がある。
カイに貰ったアサルトライフルの点検を始める。
「威力さえあれば当てれるっておかしいよ。計算とか言ってたけど撃ってから曲がる弾道の計算なんて意味が分からなかったし」
あんな数式計算してたら日が暮れると思うし、計算出来てもそんな細かい操作が出来ない。
独り言を呟いて思い出しても理解に苦しむ内容だったよ。湿度がどうとか、空気抵抗がどうとか、風がどうとか、まだまだいっぱいあったけど意味不明だったよ。
「クロスボウと同じく練習すれば扱いも命中も上手くなるはず!!」
自分に気合いを入れて的に射撃を始める。そしてそれなりに撃ちまくったけどもう少しやるかな、というところで後ろから声がかかる。
「短時間でかなり上手くなってるじゃないか」
声の主はもちろんカイだ。そしてめっちゃ誉められた。ご褒美にキス欲して!
「まだまだかな?考えたりカイに比べたら狙うのも遅いし命中場所もバラバラだしね」
でも謙虚さを失ったらいけない。上には上がいるからね。ほらその謙虚さも褒めてキスミー。
「アサルトライフルは突撃に向いた武器だからバランスはいいから使いやすいが、特化した武器には劣るんだし、そこまでの命中精度を求めてないぞ」
弾幕を張るには装填数が少なかったり、冷却機構を備えてなかったり、狙撃するには射程が短く精度もそこまで高く作られていない。拳銃のように隠し持つには大きく、しかし障害物を貫通するにはより大きな対物ライフルが必要となる。
中途半端なのではなく、歩兵の防弾装備を貫通し持って走り回って移動し、即座に攻撃し瞬間的に火力を人体に集中させられる。対物ライフルクラスだと大きく重いため、突撃には重く反動の兼ね合いで連射するには軽いのだ。アサルトライフルより小さいと歩兵の防弾装備で防がれてしまう。サブマシンガンで代用すると弾幕は貼れるが射程が少し足りない。
ほどほどちょうど良いのがアサルトライフルなのだ。これで遠距離精密射撃する方が頭おかしいのである。
※比較的精度の高いアサルトライフルにスコープなどを装備して、狙撃することもあります。安価で銃弾などを共有で使えるなどの利点があります。がそれでも海くんの射撃は異常です。
「そうなの?確かにフルバーストしたらすぐに終わっちゃうなとは思ったけど、攻撃力がかなり強いから気にしてなかったよ」
「優姫にゲーヘルの武器の改造を頼んだから完成したらそっちも試さないとな。待ち受けて攻撃するには向いてるはずだ」
「僕にはユウキが完成させる未来が創造できないや、ねぇ僕とカイでも改造をやってみようよ」
「そうだな。試してみる価値はありそうか」
「ならエレンティアも一緒にやろうよ。カイの銃は魔法使ってないんでしょ?でもゲーヘルのは魔法も使ってるし、エレンティアの知識も役に立つよ。それじゃエレンティアのところに行こうよ」
エレンティアもカイと仲良くなって手を出して貰えばいいんだよ。カイは凄いんだから変な女がシバル王国とかから、送り込めないように仲間で固めなきゃね。
「確かにそれはありだなっと」
カイが僕をお姫様抱っこしてそのまま歩き出す。これは、ご褒美だ♪
「カイの匂いがするー、ってネイとキアリーの匂いもするじゃん」
「嫌か?頑張ってたし楽させてやろうと思ったんだが?」
「嫌じゃないよ、カイありがとう、好きだよ」
ネイとキアリーがしたなら僕とエレンティアがしても問題ないね。ユウキは正妻だし問題ないはずだしね。
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鍵なんてないコアルームの部屋をそのままカイは入って行く。僕をお姫様抱っこしてるから手が空いてないんだからノック無くても仕方ないね。
「エレンティア」僕が声をかけても返事がない「エレンティア!」「エレンティア!!」同じ部屋に居るのだから気がついてよね。
カイのお姫様抱っこは名残惜しいけど下りてエレンティアの後方からホールドする。これこそ奥の手だ。
「いただきます」
カプッと首から吸血を開始します。
「わっ!?え?放せ!?なに?痛い!?」
「カイが来てるのに気が付かないからだよ。おっともったいない」
口を放したので血が垂れてしまいそうだ。
「なんで?魔法の研究してただけなんだけど!?待って!?吸血しすぎだって!!血は魔法でも増えないだからやめて!!」
ちょっと暴れる元気が無くなるところまで吸いましょう。
「なんで脱がすの!?それはだめ!というかなんで離れないのよ!?吸血鬼ってそんなに吸血行為を出来ないはずなのに上手すぎるでしょ!?あっブラ返して!!」
これでも吸血鬼の皇帝の娘なんだよ。そりゃ小さい頃からたくさん吸血してるし、最近は侵入してきた冒険者からも吸血してるし、そう簡単には離れないよ。
「ふぅ、ごちそうさま。ちゃんとカイが来たら気が付かないとダメなんだからね」
「うーくらくらする、吸いすぎよ」
「分かってて吸いすぎたたからね、ゲーヘルの武器の改造するために魔法の解析をして欲しいけど、エレンティアの体調が悪くなったし先にカイに食べて貰おうか」
暴れて逃げる体力はないし、カイにエレンティアを捧げましょう。いい感じに半裸で貧血により儚げな仕上がりになってるからね。
「どういうこと!?」
「カイは最高なんだからエレンティアはラッキーなんだよ。ねぇカイ、僕も頑張ったしもっと誉めて欲しいな」
「えっ初めては私でも二人っきりににしてたのに、いきなり3人なの!?ちょっと、サイオンまで脱がないで!?そこだめ!今世は初めてなの!男は前世もないのに~~」
「わがままだなー、カイ~先にエレンティアからどうぞ♪」
「せめても初めてなんだから優しくしてね」
もちろん二人とも美味しくいただかれました。
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