107話 悪魔の所業

 おはようございます。今回も優姫だよ。



 なんだからエルフの里?にヴィシリアが派遣されるらしいので見てます。


「ユウキ様、紅茶です。」


「キアリー、ありがとう。そういえば村とかエルフの里?とかって名前あるの?」


「ご存知無かったのですか?村はラスボスがヤバいダンジョンの村で、ラスヤバ村と改称されて呼ばれています。エルフ達はラスボスがヤバいダンジョンのエルフ理想郷と名乗ってますが、シバル王国はラスヤバエルフ借領と決めたようです。」


 ※借はダンジョンマスターから土地を借りている

 のでついています。シバル王国から優姫ちゃんへの配慮です。もちろん優姫ちゃんは気が付いてないし、気にしていません。


「なにそれ!?ラスヤバって固定されてるんだね。もう少しまともなダンジョン名がいいなー」


「ガムイとモナが農家としてラスヤバ村に住んでるので変更は無理だと思います。特にモナは冒険者相手に治療魔法で荒稼ぎして、戒めに話しているらしいです。」


 ガムイとモナって海くんがパンイチでプロポーズさせて結婚した夫婦だよね。あの状態で良く結婚出来たよね。それにしてもなんでわざわざここに住むのかな?


「あー、わざわざ村でまで血を見たくないと怪我人を避けてたから気が付かなかったのかな?酔っ払いとかも気にしてなかったしなー」


「ダンジョン名がもっと有名ですのでそれもあるかと思います。」


「なるほどね、おっヴィシリアともう一人来たね。あれは誰だろう?」


 海くんより体格が大きくて2メートル50センチくらいはありそう。ドワーフのヴィシリアと並ぶと幼稚園児とお父さんくらい身長差がある。


 筋肉質でムキムキマッチョなおじさんで武器は大きな両刃の剣のようなので前衛タイプかな?


「新人を連れているという感じではありません。冒険者として場慣れしていると思います。」


「なるほど、それじゃ音も拾ってみますか」


 エルフに挨拶して住居地区から出たところです。


『コービニが依頼主になってるが、羽振りが良すぎるだろ?報酬額も高いしギルドの様子から指名手数料も上乗せしてるだろう?まるで依頼主を調べてくれとエルフ達に伝えてるようだ』


『じゃろな、ワシは依頼主の守秘義務があるから言えんのじゃぞ』


『分かってる、だから本当の依頼主に俺の名前を売り込みたくて手伝ってるだけだ。エルフ達が本当の依頼主を見つけて俺の事を話してくれたら御の字よ。このダンジョンは王国直接管理下だから貴族という事はない。王家か王家に直接交渉出来るほど、となるとチャンスは逃せないだろ?』


『ならそれこそ直接売り込めば良いのじゃ、全く身体に似合わず小心者じゃな。だからパーティーを組んでもらえんのじゃろ?』


『だから俺はこのダンジョンで十分なんだよ。外の依頼は恐ろしくてやってられない』


『はぁ、なんでこれでおぬしはBランクなんじゃ。今回はワシが楽に依頼達成出来るから歓迎じゃがな』


『今回も任せな、黒光りカサカサ悪魔を大量に狩りまくってやるぜ。お互いソロ同士仲良くしような』


『ファーレンよ。ワシの魔法攻撃範囲に追いたててくれたらよいのじゃが?それにワシは死に別れただけでお主のようにパーティーが組めないわけじゃないのじゃ』


『分かってる、分かってる。なーにドラゴンでも出ない限り仕事はしっかりやるぜ』


『それこそオークの間違いじゃろ?事あるごとに逃走するんじゃからな』


『ハイオークなら、真っ先に逃げるかもな』


『責めて格下相手の間は狩って欲しいのじゃが?』


『今回は大丈夫だろうぜ。いい感じにエルフ達から離れたし追いたててくるぜ』


『おぬしならゴキブリ相手でも逃げてよいのじゃぞ?』


『いくら手伝いとはいえターゲットからは逃げないさ、うおぉぉぉ!!』


 ファーレンと呼ばれたおじさんは走り出しました。


「あの大っきなおじさんは誰?強いのかな?マークするくらいの実力者かな?」


「ハイオークはCランクですから、格下ということはBランク以上でしょう。Aランクならかなり有名になりますからヴィシリアの言うとおりBランクの冒険者だと思います。」


「なるほど、私達に向かって攻めて来ないなら気にしなくて大丈夫かな?ダンジョン村に長く居るみたいだし、少し気にしてるくらいで十分そうだね。海くんの銃には勝てなさそうだしね」


 冒険者を知らないのは村の誰々が好きとか、不倫とか、ノーヒッツとか面白い人ばかりを監視?盗撮盗聴?しているからです。なので今回は珍しく仕事をしています。


「それで良いと思います。ところでなぜ珍しく冒険者の仕事を見ているのですか?」


「海くんが料理してた時に話を聞いたら、ヴィシリアに仕事してもらう報酬だって言うから気になってさ」


「・・・気になるというかまぁ・・・御愁傷様です。」


「詳しくは聞いてないけど黒光りカサカサ悪魔の退治って必要なのかな?」


「最低のFランクとはいえ魔物は魔物です。増えすぎると危険なのでその前に減らすのは間違ってないと思います。」


「そういえばガーデンバードは増えてないけど黒光りカサカサ悪魔は増えてるね。ダンジョンの支配下にあるから、よっぽどエサ不足で飢餓にならないとエルフ達が管理してる場所には手を出さないようにしてあるけど、すぐ増えるしちょうどいいのかな?」


 さすがに飢え死にする寸前だとダンジョンからの命令を受け付けないから食糧の確保は大切なんですよね。だだっ広いスペースにある程度弱い魔物が隠れる場所と植物があれば共食いとかして進化したりしながら勝手にちょうど良くなるけどね。


「さすがユウキ様です。ヴィシリアも大量に狩っていますから安心ですね。」


 キアリーの言うとおりファーレンが追いたててヴィシリアが風魔法で黒光りカサカサ悪魔を狩りまくっている。


「この努力の報酬が海くんの料理って同情するよ」


 1日かけて大量の黒光りカサカサ悪魔を2人で退治したのでした。

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