137話 劇薬を刺激することなかれ
ちょっとほぐれてもやっぱりだめだよ。緊張で心臓がうるさい優姫です。
応接室からまた似たような部屋に移動して待たされてます。なんでこう待たせるのかな?帰りたいよ。
ノックがあり、バンパ王国のメイドさんが扉を開けます。
「失礼します。宰相のバンパ・ノタリン様です」
あれ?宰相がお爺さんから青年になってる。名前も違ったような?まぁとりあえず挨拶しなきゃ。
「ダンジョンマスターの優姫です。それで呼び付けて用事はなんですか?」
「そう急がなくても、ちゃんとご説明しますよ。先ずは貴女と仲良くなりたいのです」
「えっ!?ロリコンなの?ごめんなさいロリコンはイヤです」
「・・・いえいえ、友人としてですよ」
あれ?間違えた?この宰相は怒ってないよね?ならキレやすくなさそうだし、大丈夫かな。
「ふーん、仲良くしていい事あるの?」
「もちろんいろいろと提供できますよ。望むなら爵位や珍しい食材などなど揃えましょう。応接室の菓子はバンパ王国の誇る最高の職人と素材で作られてます。いくらでも用意しますよ」
んー?魅力を何も感じないんだけど、だって土地はダンジョンマスターだし好き放題地下に広げられるし、戦力は勝手に魔物が増えるし、お金は冒険者から巻き上げてるし、食べ物はDPで準備できてキアリーさんが上手だし、恋人は海くんがいるしね。しかもパパだし・・・恋人だけにしておこう。
「爵位?海くんに嫌われそうだし、政治とか分からないし、いらない。お菓子はさっき食べたけど、甘いだけで微妙だったよ?ダンジョンで作った方が圧倒的に美味しいし別にいらないや」
「無欲ですね、何か望みはないのですか?」
望み?もちろんあるよ。
「バンパ王国に叶えて欲しいのは、シバル王国と私達に平和条約を結ぶのと、ダンジョン利権を全部シバル王国のものって認める条約と、シバル王国を脅してきたからそれの賠償金をシバル王国の言い値で払って欲しい事とかだよ」
ドヤ!交渉は先ずは高い要求をして譲歩し合うんだから、向こうに譲歩するしか手札がなければ負けないもんね。
「なかなか手厳しい。我々としてはそんなに悪い国じゃないと知ってもらい、隣人としてなにより友人として、お互いに利益ある関係性を持ちたいだけですよ」
ん?はぐらかされた?強いな。でも派遣社員なのに備品購入の交渉させられて、購入価格を99.9%OFFにしたら、何故か私のの派遣先の上司に滅茶苦茶に怒られた実力をみるがいい。本当にあんなにお得にしたのになにが悪かったのかな?
だってあの時は、相手の営業マンが友達の元彼で浮気してたクズだったから遠慮なく責めてやったら安くしてくれたから悪くないよ。
「私に得がないじゃん。バンパ王国はシバル王国の敵でしょ?私はレイナ女王陛下の友達だから友達の敵は私の敵だよ?」
「仲良くなれば平和条約を結べますよ」
「それならタランクト達と頑張って仲良くなって下さいな私の友達だし仲良く成れますよね?それなら私は帰って大丈夫そうだし名案だと思いません?」
バンパ王国に攻撃を命令するから戦闘しか出来ないと思うよ。それを乗り越えて魔物と仲良くなってたら平和条約もありじゃない?違う意味で怖いし。
交渉は弱みを最初は見せてはいけない。押せ押せで譲歩する段階までは負けない。これ大事。私はそう思うんだよね。
「それこそ我々と戦争をするつもりとしか思えない態度です。やりますか?」
おや?ここで相手も強気だね。譲歩してもいいけど、賠償金あればネイとレイナ陛下が喜ぶよね?負けないもん!!
「戦争というかAランクのタランクト種をバンパ王国の各都市に放つだけだよ?仲良くなってくれたら嬉しいな、私は楽だしバンパ王国も友人が増えていいよね?」
「・・・そんなことが出来るならなぜそうしないのですか?」
ふむ、少しくらいは、譲歩をしないと意地でも譲歩してくれなくなりそうかな。
「だって旅行先をぶっ壊したら楽しくなくなるでしょ?1度見たし満足したしぶっ壊しても後悔はないよ」
こんな感じかな?もう壊さない理由はないよ。
「そうですか、ではまだまだ観光し足りないであろう王都を存分に楽しんで下さい。必要なら案内も付けましょう」
あれ?交渉打ち切り?案内よりはお金かな。
「案内の代わりにシバル王国に賠償金をお願いしますね」
「悪いことはしていないので賠償金は払えません」
ネイを困らせた時点で悪事を重ねてると思うけど、何か名案はないかな?
そうだ!なにか別の名前に変えればどうにでもなるんじゃない?ネットニュースで見た気がする。
「じゃあ、賠償金という名前はバンパ王国が好きに変えていいからシバル王国の言い値で払って下さいな」
ドヤ!完璧やろ!まだ譲歩の段階じゃないし、断られると思うけど、最初の強気は交渉の基本のきだもん。
「それは実質的に賠償金でしょう。話になりません。がまだお互いを知らないところからは、少し前進したと思いませんか?」
「はぁ、そうなのかなぁ?もうここに来るので疲れたし帰りたくてしかたないけど、貴方が話し合いが出来る事は分かったよ」
「・・・時間はまだありますし、国王陛下が晩餐会に招待しますので参加して下さい」
「ありがとうございます」
「これで失礼します」
こうして宰相との最初の会談は上手く出来たのでした。
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