136話 劇薬に注意

 馬車で移動の旅行って楽しくて、満足してる優姫です。

 

 

 バンパ王国の王都セルファナス、その中心セルファナス城に到着しました。

 

「この後の予定はどうなってるの?」

 

「それがバンパ王国側から到着日の指定はあるのですが、その後の予定は未定なので待機になります」

 

 エルザさんが説明してくれます。

 

「侯爵だったバンパも偉くなったもんだ。王都の名前をセルファナスから変えられない程度なのにね」

 

 サイオンがなかなか手厳しく評価してます。

 

「直ぐに用事ないなら帰るから、私と戦争しましょうって伝えて下さいな」

 

 ぶっちゃけもう行きだけで楽しいかったしもう疲れたから、帰りたいんだよね。

 

「えっ?はい、早く面会出来ないなら帰還するので宣戦布告します。でよろしいですか?」

 

 珍しくエルザさんが困惑気味に復唱します。

 

「ダンジョンマスターが、宣戦布告するってことでお願いします」

 

「かしこまりました。早く面会出来ないなら帰還し、ダンジョンマスターが宣戦布告します。とお伝えします」

 

「お願いします」

 

 2時間ほど、待っていると応接室に行くことになりました。

 

 なんだ直ぐに会えたのに、未定としか言わないとか印象悪いな。ブラック企業の面接でも日を跨いでは待たせないよ。

 

「ユウキ様、めちゃくちゃです。普通王族は他の王族か格上の国家の人間には即日会わないものです。かなり相手方の印象が悪いです。なので護衛の武装は認めないそうです」

 

 エルザさんが、教えてくれますが呼び付けて会わないとか私悪くないし、道中に魔物を召喚して同時攻撃とか出来るし、来るなら来い。DPが枯渇するかもだけど、シバル王国の被害が抑えられたら、後でシバル王国から稼げると思うしね。

 

「わざわざ呼ばれたから来たのに、予定すら決めてない方が悪いよ。あっ、装備を盗るなら帰るから代わりに大きいタランクトと面会してもらうって伝言をお願いします」

 

「大きなタランクトってなんでしょう?」

 

「お互いの信頼関係が築くために事前にダンジョンマスターではなくAランクのタランクト種の集団と話し合っていただくって伝えればいいよ」

 

 サイオンがまとめ直して言ってくれます。

 

「いい感じだし、それでお願いします」

 

「・・・かしこまりました」

 

 エルザさんが伝言を伝えに行きます。しかしバンパ王国って偉そう超えてバカじゃない?

 

「Aランクの魔物集団を王都に召喚されるなら折れるしかないし、これで会談前に優位に立てるね」

 

「断られたらゴブリンエンペラーとかエンプレスとかをけしかけるけど?」

 

 小さいから転移のDPが安いんだよね。

 

「・・・ユウキって鬼だね。タランクト種は大きいから兵士は室内に隠れられるし見つけやすいけど、ゴブリンだと頭も魔物にしては良いし連携するし、人と大きさが変わらないから見つけにくい。王城内なら戦いにくい上に強いとか、ぷぷっ酷い事にしかならないよ」

 

 なら断られたら両方プレゼントしよう。それで私達は転移して逃げる。うん完璧な計画だね。

 

「失礼します。護衛の人数と武装は自由で、かまわないのでこれから会うとの事です」

 

「はぁ、権力者と会うのかヤダなー。断ってくれたら楽だったのにね」

 

「前科があるし魔物を呼び出せるのは知ってるから、そりゃ折れるでしょ」

 

「無茶が過ぎますが、まだ常識の範囲内です。ユウキ様の戦力にはバンパ王国といえど不意打ちは受けたくないとは思われます。会談を断らせるなら常識から、外れなければ難しいと思います。」

 

 サイオンとキアリーさんまでこのくらいは断られないって判断なんだね。

 

「だいたいカイが居るのに待たせたり、非武装とかあり得ないって話だよね」

 

 サイオンはブレないね。海くんは静かに護衛というか警備してます。なんでも政治はろくなことにならないし分からないし関わるのは嫌らしいです。

 

 それでも私が心配だから護衛警備はしてくれるって嬉しいし、優しいよね。

 

「そうですが、バンパ王国にそこまでの理解を求めるのは難しいのではないですか?」

 

 キアリーさんまで海くん優先なの?なんか海くん教でも立ち上げるつもり?

 

「仕方ないね。ユウキも分かってるし、そのうちバンパ王家も分かるでしょ」

 

「そうなの?もう帰りたくて偉い人と話すのが緊張するし、嫌なだけなんだけど」

 

 なんかサイオンが不機嫌そうな表情なんだけど!?もしかしてサイオンの地雷踏み抜いたかも!?

 

「もぉーユウキ隠さなくてもいいのに、でもダンジョンマスターの力で押し通したし、たぶん密偵が盗み聞きしてるしそういう事にするのもありだね。ユウキ分かってるよ」

 

 なんか上手い感じで誤解されたね。

 

「あははは、それより密偵って大丈夫なの?」

 

「見つけたら大問題だよね。普通はバレてもしらばっくれるし証拠もないし他国の間者とか言って認めないよ」

 

「いや、居ないな。国境を越えてからスパイを見つけるたびに殺してたらいなくなったぞ」

 

「しゅごい!カイはやっぱり最高だね」

 

 海くんがすでに対処してて良かったよ。サイオンはとろけかけて踏み止まったね。サイオンがダンジョンに帰るまで、保てるか心配だよ。

 

 そんなサイオンのおかげで少し緊張はほぐれたよ。

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