202話 いつかのバトル再び? 5

 海くんの水魔法に惚れ惚れしてる優姫だよ。

 

 

 深淵の光の紅一点、三日月刀を装備した剣士には、沢山のツララが襲いかかる。

 

『ハッ』

 

 ツララを切り捨てて突破をはかるけど、切り捨てられたツララは溶けて新しいツララになり、飛んでいくし数が多すぎて、足を止めて迎撃に集中するしかなくなる。

 

『こちらの人員不足で、飽和攻撃は失敗し、各個撃破される。状態は最悪で勝機はないかもしれん。だからこそ一矢報いなければ深淵の光が廃る!!』

 

 そのかっこいい宣言に合わせてツララの数が倍増する。

 

『ちょっと!?イジメないで!!カッコつけさせてよ!!』

 

 まだぁまだぁと言わんばかりにツララの飛来速度も上がって行く。

 

『あっうぅ、ごめんなさい許してぇ〜』

 

 泣き言を言いながら、とにかくツララを斬って斬って斬り捨てまくる。

 

『ねぇ、その後ろに溜まってるのどうする気なの?そんな量が、飛んできたら無理なんですけどぉ!?』

 

 空中で飛んで行くこと無く、静止して浮遊しているツララがだんだん増えている。

 

 それでも三日月刀は止まることなくツララに対抗して、高速で、鮮やかに斬りまくる。氷は思ったよりも硬いのか金属音の様な高い音が連続して、鳴り続ける。

 

『いやいやいやいや、なんでなの?なんで私だけこんなにハードなの?』

 

 そして周囲を見て、あら?私はまだマシな方?と気がつく。そりゃツルツル氷で遊ばれてたり、超危険ウォーターカッターに襲われてたりしている。

 

『私かっこいいじゃん!!もっともっと斬りまくる!!』

 

 それじゃフィナーレだ!!と海くんの操るツララが過去最多に用意される。

 

『それあかんやつだからぁ!!ごめんなさいぃ!痛いのはヤダー!!』

 

 圧倒的な数の暴力に守りきれなかった。ツララの先は丸められていて、大ケガ流血はしなかったが滅多打ちにされて気絶したのだった。

 

 そして深淵の光の最後のメンバーは槍使いだ。彼の相手は、海くんの作り出した、氷の槍を使う人型の水ゴーレムという謎存在である。

 

 水ゴーレムに槍で突いたり斬りつけたりして勝てるのかは不明なのだが、無視も出来ないと思うよ。

 

『槍技スキルレベル10の俺はは強いぞ、いいのか?』

 

 どうやら水製ゴーレムに勝つ自信があるらしい。

 

 深淵の光の槍使いが鋭い突きを放つが、海くん特性ゴーレムは槍を最小限の動きで弾くとカウンターを繰り出す。

 

 深淵の光の槍使いは最速で槍を引き戻し、氷の槍に強烈な一撃を打ち込み、ピシリッと氷の槍に亀裂が入る。

 

 ニヤリと笑うと水製ゴーレムに槍を突きだすけど、氷の槍は瞬時に修復されて、寸前で割り込み防御に成功する。

 

『あのタイミングで防御が間に合うし、槍に亀裂程度では無意味か。やるね~、楽しくなってきたぞ』

 

 今度は海くんの水ゴーレムが槍を薙ぎ払う。ところでそもそも水製ゴーレムが槍を握ってないと思うよ。たぶん槍だけで同じ動き出来るよね?むしろ発動する魔法が増えて人型のゴーレムが邪魔なんじゃないかな?

 

 弾かれたときにも腕が合わせて動いたけど、水だし接着とかされてないよね?普通に氷の槍を飛ばせるよね??

 

 そんな手加減というか無駄ぽい水製ゴーレムの薙ぎ払いを深淵の光の槍使いは槍を使って受け止める。

 

『クッ、どこにそんなパワーとスピードがあるんだよ??』

 

 弾かれた反動も計算に入れた海くんの氷の槍は、連撃を繰り出す。パワーとスピードは魔法なんだし、どこにあるのかというと、MPか魔力なんじゃないかな?

 

『槍技スキルなしで、そのキレと技量か、そんなことが可能なんだな』

 

 この世界ではスキルに頼りきっている。教義でも禁じられていて、スキル以外の他の技など、聞いたことも無ければ、存在を考えたこともない。

 

 足運びや槍の動きを予測し、次の動作へ繋げにくくなるように攻められて、深淵の光の槍使いは、後退をすることで致命的な敗北こそ避けるものの、徐々に追い詰められる。

 

 追い込まれて起死回生のために、ダメージ覚悟で深淵の光の槍使いは、特攻する。それは、功を奏し左腕を強打されるけど、水製ゴーレム?の頭に槍を突き刺す事に成功する。

 

 当然だけど、ゴーレムは何事もなかったかのように猛攻を仕掛ける。たぶん海くん特性の氷の槍だけで猛攻できると思うけどね。

 

『ちょっと!?ノーダメージは反則!!どうやって勝てばいいんだよ?』

 

 そんな深淵の光への無言の回答は、まさかの槍二本の二刀流ならぬ二槍流の水製ゴーレム?になり手数2倍で襲いかかるというものだった。

 

『速い、速すぎ!!槍は二本使うものじゃないし片手で振り回せる物でもないからな!!』

 

『そこ!!おかしいぞ!!関節じゃないところを曲げるな!!』

 

『槍が伸びるとかありかよ!?もう槍じゃないよな?』

 

『空飛ぶ槍だけで、攻撃をしてくるな!!それは普通に魔法だろ??な、槍の技量で勝負しようぜ』

 

『理不尽だよな?卑怯だよな?もうゴーレムいらないよな?こんなん勝てるかーーー!!』

 

 独り虚しく叫ぶけど、海くんの特性ゴーレムは期待に応えて、大量の浮遊した氷の槍になる。

 

『負けました。こんなの突破とかムリだし』

 

 深淵の光は全員敗北したのだった。『痛い!!降参したけど続行なのかよ!!倒れたから!!もうやーめーてー』

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