203話 いつかのバトル再び 6
深淵の光とファーレンが全滅して、残るはヴィシリアだけにした海くんが、超絶かっこいいと思う優姫だよ。
『これは強すぎじゃろ・・・』
海くんは無言で氷と水を使い、深淵の光のメンバーとファーレンを場外に放り出す。対するヴィシリアは半ば、諦めの表情を浮かべてるよ。
「海くん余裕だね?これヴィシリア勝ち目ないよね?」
「歴戦の冒険者なら切り札はあるでしょうが、影魔法を超える切り札はないと思います。」
「影魔法は海くんにシャットアウトされてたね」
「カイは受けたことある魔法は対応出来るよ」
「大賢者のエレンティアが言うとね。全部の魔法で試したってことだよね?」
「雷魔法と光魔法も避けられたよ」
「海くんは銃弾だけじゃなくて、雷と光も避けるのかぁ。ヴィシリア、ドンマイ」
ヴィシリアも影魔法は効かないと理解したのか攻撃を止める。海くんは螺旋回転する水はそのままに、深淵の光とファーレンの相手してた水球も、元の待機位置に戻す。
『振り出しに戻されたのじゃ。これだけ派手に魔法を使っておるのじゃMPはそろそろ枯渇するじゃろ?』
『さてな、そう思うなら試してみるか?好きなだけ待つぞ?』
『ふむ、MPを回復されてはたまらんのじゃ』
ヴィシリアはここに来て無詠唱で影魔法を発動させる。
海くんは、影魔法の攻撃を回避してヴィシリアとの距離を詰めるために走り出す。もちろん海くんの螺旋回転する水も螺旋回転しながら影魔法を回避して海くんについていく。
『なんじゃそれ!?意味が分からん奴なのじゃ!!』
「そんなことを言いながら、攻撃魔法とデバフ魔法を連打するあたり歴戦の魔法使いぽいね」
エレンティアには無詠唱の、デバフ魔法が分かるらしい。海くんには効果ないし、海くんの動きは激しいし上に螺旋回転の水と、影魔法と風魔法の攻撃が派手でデバフ魔法の地味なエフェクトなんか分からないよ。
「なんかヴィシリア卑怯じゃない?レールガンいっとく?」
「それはヴィシリアが無くなっちゃうからね」
「ユウキ様が手出しするほうが卑怯だと思います。それにカイ様が危ないです。」
「むぅー、海くんが有利だしこのままもう少し見てるよ」
レールガンぶっ放したら怒られそうだし、まだ撃てないね。海くんがピンチになったら即時発射を心に決めていると、海くんは無詠唱のヴィシリアの魔法を突破して、接近戦に持ち込む。
海くんはあっさり最後のヴィシリア魔法を半回転で回避して、カウンターの膝蹴りをヴィシリアの腹に打ち込むと見事にみぞおちに命中する。
『グフッ、まだまだじゃな』
おや?海くん楽しそうだなね。海くんの戦闘狂が出てきるときの表情だね。そんなにヴィシリア強かったけ?
『まだまだ敗けんのじゃ!!』
ヴィシリアが魔法を無詠唱で多重発動させる。でも海くんは、針の穴を縫うように避けきってしまう。
ここで、何故かサバイバルナイフで斬りかかる海くん。そしてなんとヴィシリアは回避してしまう。もちろん海くんよりは、キレがなくギリギリだね。
海くんが追撃で繰り出した蹴りの爪先が股間にヒットしてヴィシリアが吹き飛んで、海くんが即席で作った氷の天井にヴィシリアは脳天からぶち当たる。
『うが』
ヴィシリアが変な声を出すけど海くんは情け容赦なく落ちて来るヴィシリアに後方回し蹴り、つまりくるっと旋回しての蹴りを叩き込む。しかも踵がみぞおちに直撃してまたしてもいつの間にか作った海くん特性氷の壁にズドン!と叩きつけられる。
私が何気なしに疑問を口にする。
「ん?んー?ん?えっと、どこかで見覚えがあるような??」
「カイ様の近接戦闘は珍しいのではないですか?」
キアリーさんが言うけど、そうなんだよね。なんで海くんが接近戦をするのかな??
海くんはヴィシリアの連続魔法も回避してさらにヴィシリアの発言中も攻撃の手を緩めない。
「くっ魔法だけでな、はぐっが」
海くんのアッパーカットが顎にヒットして舌を噛んだみたい。
急所の金的とか頭とか顎とかさ、もうえげつなく狙うし威力重視の蹴りとか受けてもヴィシリアは丈夫だね。んん?思い出した!!
「あー!!海くんとヴィシリアが戦った時の再現だ!!あの時はヴィシリアが海くんに殴りかかって、金的でボコられたんだよね」
海くんは、アッパーカットから流れるように投げ技に繋げて、ヴィシリアがヤバイ感じに脳天から地面に叩き付けられて、喉を踏みつけて「ぐえっ」と言わせて、さらに股間を全力で蹴り飛ばしてる。
それでもヴィシリアは少しふらつきながらも立ち上がってくる。
『おかしな格闘スキルもけんざ、なっほぐば』
しゃべってる途中でも海くんの踵落としがヴィシリアのテッペンハゲにきれいに命中する。
踵って人の骨でも硬いところらしいよ。それが凄まじい速度で叩き付けられても死なないヴィシリアは強い冒険なんだよね。でも後衛が接近戦に持ち込まれたら終わりだよね。
海くんが再びアッパーカットを狙いヴィシリアがガードしようとするのも、やっぱりフェイントで、いつかと同じく肩を掴むと、ヴィシリアが、ぶっ飛ばないように押さえつけて金的へ全力の蹴りがヴィシリアに叩き込まれると少しヴィシリアが浮き上がる。
ヴィシリアの手が激痛に堪らず押さえた股間におまけで膝蹴りが放たれる。手でガードしてるけど、またヴィシリアが浮き上る破壊力どけども、海くんが肩を押さえてる。
『ノォーーーーーーーー!!』
本来は吹っ飛ぶことで威力減退が出来るけど、今のは股間の的に海くんの押さえつける力とヴィシリアの体重、蹴りの威力が集中したのだろう。しかも二連続だからダメージが増し増しだと思う。
叫びながら股間を押さえるヴィシリアは戦闘不能というか転げ回ってる。たぶん当時よりも海くんの力は、強くなってるし、動きはより洗練されてて、凶悪な攻撃になってると思うよ。
「海くんのえげつないよ。これやるから、楽しそうだったんだね」
「カイこれはダメなやつ。男にやってはならないやつだって!!同じ男ならわかるでしょ!!」
そういえば、前世が男なエレンティアはガクブルしながら股間を押さえてる。よほど男にはおそろしい攻撃らしい。
『ノォーーーーーーーー!!』
ヴィシリアはまだまだ転げ回っている。
「見ただけでも、苦しみが伝わってきます。」
キアリーさんも若干引き気味だよ。
『ノォーーーーーーーー!!』
ヴィシリアは転げ回って魔法も放てない。勝負ありかな?
海くんは少し思案して、金的でぶっ飛ばす。そういえば無意味にダンジョンの外に蹴り出したね。
『ノォーーーーーーーーーーーーーーーー!!』
海くんはそのまま顔だけ残して空中で氷柱にヴィシリアを取り込み固定してしまう。
『ノォーーーーーーーーーーーーーーーー!!』
御愁傷様です。股間を押えて完全に空中固定されたヴィシリアに、観客も失笑と男達からの僅かばかりの同情が向けられる。
ここで海くんは、ネイの演説の時に選んだ、鳥人族の女の子を手招きして、呼び出したのでした。
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