147話 劇薬流出事故

 キャッハー徹夜明けの優姫だよ!!

 

 

 やりきったぜ!王都を丸ごとダンジョン化したよ。サブコアを使って洞窟型のダンジョンだけど、無理やりダンジョンと認識させて、無人のとこをダンジョン化、ダンジョンにした所に降伏した人を押し込んで新しい場所を無人化してダンジョン化と広げて城は制圧したよ。

 

 そのまま拡大してたけど、面倒くなって貴族街は全部ぶっ壊して制圧。平民街はこっそり無人の所だけ制圧、明かりの魔道具効果で、ほぼ全ての範囲の制圧に成功したよ。勝手にダンジョン化してるところに人が集まるし、してないところは離れてくれるからね。

 

 ちゃんとダンジョン化しての制圧は冒険者ギルドマスターには秘密にしたから完璧だよ。

 

 でも、結局は大赤字です。なぜなら地下深くに隠し通路を作って私のダンジョンと繋げたからです。いやー本体のDPまですっからかん、残り3桁だよ。

 

 でもさ監視も稼ぎも魔物侵攻もバンパ王国にやりたい放題、まさに完全制圧だよね。

 

 朝方になり海くんと、キアリーさんが寝てた部屋から出て来ます。

 

「優姫様、おはようございます。」

 

「キアリーさんおっはよー!」

 

「血の匂いと埃ポイな?なにかあったのか?」

 

「焦土作戦を実行しました!」

 

 サイオンが報告してます。

 

「制圧も完了しておりますです!」

 

 私も海くんに報告だよ。

 

「は?なぜ焦土作戦?」

 

「外を見れば分かるよ。全部壊してダンジョン化して支配下に置きましたです」

 

 貴族街は廃墟とかしてるからね。正に焦土作戦そのものだよ。海くんが窓から外を見渡して、私が表示したダンジョンメニューからも確認します。

 

「派手にやってるが、それは焦土作戦ではない。ただの無差別攻撃による破壊だ。報告は正しくしろ」

 

「この状況はそういう問題ではないと思いますが・・・」

 

 キアリーさんが敬語ではなく絶句してる。ほら中途半端よりやりきった方が怒られないよね。

 

「やってしまったものは仕方ない。しかし、焦土作戦は防御後退と組み合わせて領土の食料、燃料、設備、森やなどを焼き払いその地域を占領させる作戦だ。相手の領土を焼くのは略奪か普通な攻撃だ。間違った報告をするな」

 

 まさかのそこで怒られるの!!

 

「ごめんな、あぅ!海くん!もーほっぺツンツンしたから舌噛んだでしょ!!うがー女は突貫よ!!サイオンも共犯なんだから2人がかりだよ!!」

 

「なるほど焦土作戦はそうなんだね。覚えておくよ。ズルいユウキだけじゃなくて僕とも遊んでよ」

 

 私の突貫はあっさり受け流されて小脇に抱えられる、そこにサイオンが海くんの足にレスリングのタックルを狙う。

 

 海くんは完璧なタイミングで私を小脇に抱えたまま、サイオンのタックルを前宙返りで避ける。

 

 サイオンは素早く停止して、海くんの着地を狙って足払いを放つ。

 

 そこも海くんは空中で身体を捻って僅かなタイミングのズレを利用してステップを踏んで、サイオンの足払いを回避する。

 

 まさかのここで私をサイオンに向けて振る。

 

「はわわ!」

 

 私を武器にされたサイオンは大慌てで回避に移る。

 

「海くん!酔う!これは酔うから!ウキャー!!」

 

 サイオンにぶつかる寸前で海くんは私を強制ストップさせる。海くんは私が怪我をしないように気を使ってるから大丈夫だけど、ジョットコースターより激しく振られて酔いそう。急停止と急加速の繰り返しはダメだって!!いつぞやのゴブリン戦より酷いよ!!

 

 海くんが、しゃがみ込み体勢の崩れたサイオンに、床スレスレの回し蹴りを繰り出す。いやいやなんで私を抱えたままそんなこと出来るの!?

 

 サイオンは海くんの回し蹴りを、受けつつも飛び上がりダメージを最小限に抑えることに成功する。

 

 海くんは蹴りを止めないで勢いを利用して身体を回転させて、サイオンへ次の遠心力ののった蹴りを放つ。

 

「早い早い!目が回るー!」

 

 私の悲痛な叫びはスルーされて海くんの蹴りがサイオンを捉える。サイオンもなんとか崩れた体勢ながら、ガードだけはする。

 

 海くんの近接戦闘はカポエイラとか空手と、投技系の柔道とかの複合じゃないかな?オリジナル技もありそうだけどね。

 

 ガードしたサイオンは着地するとタックルをまた狙う。海くんは絶妙なタイミングで後ろに倒れ込み、片脚を上げてそこにサイオンを乗せて投げる、つまり巴投げをキメる。

 

「うきゃー、吐く!気持ち悪い、ゲロゲロ」

 

 予想外の後方への急動からの海くんの無意味なシャッフルに吐いてしまう。徹夜明けのとんでもジェットコースターは無理です。

 

「えっちょ!!ユウキ!!そこで吐いたら僕が大変なことに!!ゔぁ~~」

 

 なぜか海くんから投げられたサイオンの上に乗っていてサイオンに吐いたみたい。どうしてここにいるの?さっきまで海くんに小脇に抱えられてシャフルされてたよ????

 

「うぅー!海くんの才能を無駄遣いするとこうなるのね、サイオン!?まだ動いたら・・・ゲロゲロ」

 

「ごめんって、あーユウキ!僕の上で吐かないでよ!」

 

「カイ様、紅茶です。周囲の匂いに負けない香りの強く良い物になります。」

 

「ありがとう、食事はどうにかなるか?」

 

「シバル王国のキャラバン隊が無事ならなんとかなるでしょうが、混乱する前に出ないと大変かもしれません。」

 

「そうか、最悪は狩りだな」

 

 海くんとキアリーさんは優雅にティータイムだよ。私達はお風呂・・・しまったメイドさん居ないから使えないや。

 

「仕方ないし水で洗って着替えるしかないね」

 

 そうサイオンが提案します。

 

「そうだね。報告は正確にしないとだね」

 

「うん、もう大丈夫?」

 

「気持ち悪いけど歩けそうだし、洗いに行こうか」

 

 2人でサイオンのドレスアーマーを頑張って洗っててDPでどうにかした方が早かったと気が付いた時には、ほぼ終わっていましたよ。

 

 ダンジョンマスター何だからケチっちゃだめだよ。なんか凄い勢いで、DP溜まってるしね。

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