044話 間話 ダンジョン拠点

 タンテ・メイ side

 


 ヴィシリアがダンジョンの中でボコられている頃ダンジョンの入口の安全地帯に冒険者ギルドとシバル王国から人が派遣されて到着していた。

 

 内乱の影響で『ラスボスがヤバいダンジョン』の拠点作成は開始すらされずに遅れていた。先日新しく即位したレイナ女王陛下が拠点作成を推進していて1日でも早く現地に急行せよとの要請があった。

 

 冒険者ギルドの戦力は強く国家間をまたぐ組織だ。それもこれも神々の同じ教えを信仰する仲間だから可能なのだろう。

 

 私の推理では、内乱で王家の金は空っぽなのでダンジョンの収益を急いで財政の立て直しが必要なのが真実とみた。

 

 ※正解は、貴族から資金を巻き上げて王家の財政は大幅な黒字で元女王のネイの情報をもとに、利権の確保を急いでいるのである。 若干ネイの圧力に屈したところもある。むしろバカ呼びしてたのが密偵から漏れてると思いいたり夫婦で恐怖したのというのが本音だ。

 

 

 レイナ女王の要請により、冒険者ギルド出張所のマスターとして赴任してダンジョン入口にやってきた。

 

 ギルドの受付嬢として鳥人属ナーシャと二人が冒険者ギルドの出張所の初期メンバーである。

 

 私の推理では、監督役兼村長としてムサク・スミが派遣され、労働者が10名ほどいるが建物を建てるだけで、長期滞在は村長のムサクのみ、実質3人で村作るとか貧乏くじだ。ムサク氏は左遷だろう。

 

 ※正解はムサク・スミは官僚貴族のエースでレイナ女王の信用があり、ネイとも知己の存在であることもあり、村長としてよりも連絡役、利害関係の調整、交渉の現場担当として選ばれました。

 

 

「上の森はエルフ領ですか、崖は結構高いし、砂浜に家は建てても長持ちしないトラブルの予感だ」

 

「ダンジョンの一階が安全という情報なのでそこに拠点を作って、二階と三階がダンジョン資源があるエリアって情報をギルドマスターが知らないのですか?ギルド出張所を建てるのですから、下調べくらい当然してますよね?」

 

 ナーシャが状況の変化を伝えてくれる。私の推理を上回るとは事態は複雑化ようだ。

 

「もちろんしていますよ。ダンジョンの安全が確保されている保証はあるのですか?」

 

 会議で冒険者の報告と国の方針聞いたから下調べは完璧なのさ。

 

 私も貴族の出身で家名はあるがこの国ではないし四男で兄がを継いだのでこの国の貴族の決定には逆らわないでいよう。

 

 冒険者になるには読み書きと戦闘力が必要だから貴族の跡取り以外のがなることは多いのだ。しかし安全かは別問題である。

 

「ダンジョンマスターがエルフで対話可能なんでしょ?ギルドマスターはエルフで適任、流石は冒険者ギルドですよ。人選も完璧ですから働きに期待してますよ」

 

 めっちゃテキトーに決まったし。聞いてた話は当分監督とかシバル王国から来ない予定だったし。働きたくないし。

 

「ダンジョンの管理を完璧にやりますよ」

 

 よし、仕事はダンジョンの管理だけになった。

 

「はぁ、このギルドマスター大丈夫かなぁ、とりあえず冒険者の制限ランク決めてくださいよ」

 

 冒険者のランクねダンジョンの最低基準Dランクでいいでしょ。それでもギルドの幹部だしランク制度を思い出しますかね。

 

 Fランク

 登録すればなれるが最低限の戦闘力(安全な街道で自分の身が守れる程度)と読み書き計算が出来ることが条件。

 初心者若葉マーク

 

 Eランク

 ギルドで毎月二件クエスト受注と年間30件のクエスト受注を満たすことで昇格。

 1年間のFランク経験 ※成功の必要はないがある程度のギルドからの信用は必要。

 初心者

 

 Dランク

 毎月のモンスターの狩猟実績と年間クエスト50件達成で昇格。

 一年間のEランク経験 ※ここまでは努力でなんとかなる。

 普通の冒険者でCランクに上がれない冒険者が多い。

 

 Cランク

 Bランクの冒険者と模擬戦闘試験を3連続して1勝(Bランク冒険者に実力が認められ冒険者ギルドも認めれる事で代用可)できたら昇格。

 三年間のDランク経験。

※才能の壁を越えた者。

 熟練冒険者

 

 Bランク

 鑑定を受けて戦闘スキルが10個以上でステータス値の平均1000を越えていること。

 冒険者として五年のCランク経験

※騎士団や傭兵の精鋭ほどの強さ。

 冒険者でも精鋭でエース級。

 

 Aランク

 英雄といえる成果を出すと昇格。

 大群を相手に出来る人型戦術級兵器といえるスキル込みでステータスの合計は数十万は必要と言われ戦場の勝敗に個人で影響するほど強い。

 

 Sランク

 Aを超えた超人なら昇格。

 人類の限界で人型戦略級兵器といえる人間の戦争では単騎で国を滅ぼせるとも言われる。

 勇者のパーティーなら欲しい強さで、広範囲殲滅魔法やスキル込み合計100万ステータスくらいは必要かと思われる。

 

 勇者

 チート級もしくは準魔王級で人類の希望。人類の頂点と言われる。

 合計ステータス300万~400万にスキル込みで届くと思われるが詳細は不明。

 

 魔王級

 Sランクで揃えたパーティーですら死者なくして討伐は難しく、種族や年齢により強さはバラつきがある。共通しているのはその戦闘力で国ほどの広さを支配し、他種族を排斥していること。単騎で勇者を超える個体が多数いると思われる。

 

 戦術級・・・戦場つまり現場で大きな影響がある存在。逆にいえば現場レベルでどうにかできる可能性がある。

 

 戦略級・・・戦争や外交レベルで影響のある存在。現場の戦場ではどうにもならいほどの強さ。

 

「うん、Dランクで大丈夫」

 

「はぁ、全く情報なしで決めるとか知りませんよ」

 

「さて国の担当官にと話しを進めますよ」

 

 派遣されたムサク氏に仕事を押し付けねばならないため声をかける。

 

「ムサク殿、ダンジョンの管理を完璧にやりますよ」

 

「それは頼もしい、ダンジョン産出の資源査定から運搬に税額計算まで全てお任せしますよ」

 

「どんどお任せ下さい」


 やっべぇ仕事が増えたし、じゃなくて股間が漏らしたぽく濡れてる!なんで!?

 

 受付嬢のナーシャとムサクの視線が冷たい。

 

「このギルドマスター大丈夫なのか?」

 

「最低」


 ナーシャ部下なのに酷くね?地味で王都のギルドに勤めてるもの知らなかったけどさ。

 

「漏らしてないから!」

 

「そういうことにしましょう」

 

「お漏らしギルドマスターは公然の秘密」

 

「それは全員知ってるってことだよな?」

 

「誰もギルドマスターには言わないから大丈夫」

 

「漏らしたエルフがダンジョンの交渉とかはしなくて良いので管理だけはお願いします」

 

 ギルドマスターのタンテは名誉をギルドが完成する前に失ったのであった。

 

「漏らしてないから、というか建築の人数が多くないか?」

 

「一緒に来たのは10人のはず、でも公然の秘密を知ってる人が増えた」

 

 リーダーと思われる犬獣人の男が歩いて来る。

 

「はじめまして、わいウレナイいうしがないあきんどです。よろしゅうお願いします」

 

「私がシバル王国から派遣されました村長のムサク・スミです。こちらは冒険者ギルドマスターのタンテ・メイです。彼女は冒険者ギルドの受付嬢のナーシャです」

 

「これは、えらいおおきに、宿屋と食堂を開くさかいお三方はサービスしますんで、よろしゅうお願いしまっせ」

 

 マジの商売人言葉だ。ぜか国を渡り歩くほどの豪商が使う方言ということはかなりの金持ちとみた。しかし視線は俺の股間にロックオンされてる気がする。いや被害妄想だろう。

 

「レイナ様にダンジョンが見つかった聞いて飛んで来ましたんや、これは予想どおり金の匂いがぷんぷんしまっせ。ほな宿の設計指示がせなあかんのでこのあたりでおいとましますわ」

 

 嵐のように去って行ったぞ。

 

「しゃべる暇がなかった」

 

「公然の秘密をすでに理解してるとは商売人よく分かってる、弁明もさせないとはSの鑑」


 ナーシャあなたやばくない?部下としてその態度はどうなの?

 

「ギルドマスターの執務室に引きこもろうかな」

 

「仕事さえしてくれればかまいません」

 

 ムサク様それは引きこもりは許さないってことですな。

 

「働けギルドマスター」

 

「仕事として先ずは出張所の建設監督しますよ」

 

 こうしてダンジョンの一階の最奥、二階の入口に冒険者ギルドの出張所が建設が、開始され庁舎兼村長宅が少し離れた場所に大きく建てられ始めた。

 

 宿と食堂はダンジョンの入口の一等地を確保したのである。


 俺は本当に漏らしてない。濡れてたのは水だったしな。どこから水が来たのか俺の推理力を持ってしても見当もつかない。どうして濡れたのだろうか?

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