047話 変態ってどうなの?

 ヤッホー、優姫です。コアルームからヴィシリアの戦闘をよく見えないけど音くらいは聞けたよ。

 


 とりあえず治療してヴィシリアはダンジョン拠点付近に放置したよ。魔物には襲われないようにしたし大丈夫でしょ。そんなことより大事なことがある。

 

「あいつ強いね、海くん私と戦おうよ!女は突貫!!」

 

 女の感が海くんだけで行かせるべきでないと訴えているの!!海くんの恋人は私なんだからね。

 

「邪魔だし、大人しくしてろよ」

 

「ユウキさんは子供だからダメですよー♪」

 

「ヤーダー、パパ私も行くー」

 

「仕方無い、危ないから後ろにいろよ」

 

「パパありがとう」

 

 海くんにパパと呼べばニヘラっと笑顔を返してくれてお願い叶えて貰えるのです。ちょっと恋人から離れてる気もするけど実利のためよ。

 

「カイさん大丈夫ですか?ー♪足手まといですよー♪」

 

「魔法を撃たせなければいいださ」

 

「なら任せますー♪ダンジョンマスターのユウキさんの安全第一にカイさんは頑張って下さいねー♪」

 

 こうしてキアリーさんとヴィシリアが撤退して、交代で海くんと私がサイオンに挑みます。

 

 キアリーさんから海くんは情報を聞き取り満足そうに頷きます。そして扉の封印を解除して開けます。

 

「雇い主かな?」

 

 正立方体に入るとサイオンが質問してきます。

 

「私がダンジョンマスターだよ、海くん殺っちゃて」

 

「どういうこと?」

 

 サイオンは混乱してるけど、海くんは遠慮なく一気に走り込んでボウガンを狙って蹴りを真下から放つ。

 

「速い!今度は接近戦タイプか、いい男だけど僕は負けない!」

 

 なんとか蹴りを回避するけどボウガンを使う余裕はなさそう。

 

「海くんファイトー!リアル僕っ娘に負けんなー」

 

 海くんが流れるような動作で、ヤバいサバイバルナイフを抜いて切りかかる。

 

 あの手入れされてるけど、消毒されていないある意味毒ナイフだよ。オークの敵もある程度は切ってるし絶対病原菌がびっしりだよね。

 

「ちょっ強すぎ!!」

 

 海くんのサバイバルナイフをボウガンを盾になんとか受け止めているけど、石の矢を準備もセットもする余裕がないみたい。宣言の通り魔法を使わせない猛攻です。

 

 海くんの猛攻をなんとかサイオンは凌いでいる。それでも傍目からでもサイオンが押し込まれて体勢が崩れてるのが分かる。

 

「えっへん!海くんは強いのだよー!」

 

 女の感が彼女に勝てとマウントしろと訴えるのだよ。

 

「彼が強いのは認めるけど、僕だって負けない、ストーンアロー」

 

 ボウガンに装填しないで直接魔法攻撃をサイオンが仕掛ける。海くんは最低限のバックステップで回避を成功させるけど少し距離を離される。

 

「海くんファイト!!」

 

「ストーンアロー、ストーンアロー!」

 

 サイオンがボウガンに魔法で作った石の矢を装填しながら一発を海くんに向けて放つ。海くんはバックステップではなく前進しながらあっさり射線を避けて、素早くサイオンに接近を成功する。

 

 結果として海くんがガキン!ガキン!とボウガンを盾にさせる状態に戻してしまう。

 

「ボウガン射撃が出来ない程はステータスで負けてないと思うけど攻撃が読みにくいなっと」

 

 ガキン!ガキン!ガザキン!ガチャリン!カスカスカス 

 

 サイオンのボウガンから異音が鳴る。本来は盾にするものじゃないから、戦闘の衝撃に耐えきれ無かったのだろう。


「ボウガンが壊れた!?チッ、ストーンアロー!」

 

 今度の海くんはストーンアローの機動と射線さらにタイミングを完璧に読んで、スレスレの紙一重回避を披露して猛攻を止めない。

 

「マジで!魔法無効のスキルはあっても回避のスキルはないでしょ!?」

 

「へぇ~魔法無効のスキルなんだね。海くんは普通に避けてるよ~凄いでしょ」

 

「僕も、自力でガードしてるから!ヤバっ!!ストーンアロー!ストーンウォール!」

 

 海くんのサバイバルナイフがサイオンの喉元に届きかけて石の矢を囮に石の壁を作って強引に間合いを離して壁を盾にクロスボウのチェックをしようとする。

 

 海くんはストーンウォールから大きくバックステップして距離をとる。ハァッ!!と気合いの助走からの回転キックで突進力に遠心力まで乗せて一枚石を根本から折ってサイオンに向けて蹴り飛ばした。

 

 ストーンウォールは根本から、床と平行に文字通りぶっ飛んで突き進む。

 

「ちょっ!危な!ストーンウォールは飛ばないって!?」

 

 ズガドーーン!と石の塊は壁にぶつかり確実に人が死ぬ音がする。

 

 サイオンはキックの音に反応してギリギリしゃがんで当たらずに生きている。

 

「あら、避けられた」

 

 珍しく海くんが戦闘中に喋ってる。軽い感じで言ってるけど私もビビったよ。だって壁にストーンウォールがぶち当たって壁にヒビ入ってるし凄い音したしね。

 

「僕チビるかと思った、乙女にチビらせそうにするなんて許さない!!」

 

「チビってないの?」

 

 私が鋭く、内股気味なサイオンに指摘します。

 

「・・・ギリギリ、ギリギリセーフ」

 

 アウトだね。

 

「そうだね。少しならセーフにしようね」

 

 女の子だもんね。でも女の感が指摘しろと訴えるのだよ。

 

「チビってないから、濡れてないから!これは戦闘に必要な構えだから!」

 

 戦闘中に感じて濡れた?違うな、チビって濡れてないという主張か。

 

「あなた戦闘中に濡れる変態様ですね。お外に出て自由になっていいですよ」

 

 私のメンタル攻撃をくらえ!!前世含めて40年も生きれば下ネタくらい行けるのよ。

 

「なんか僕、墓穴掘ってる!?変態じゃないから仲良くしようよ」

 

「ストーンウォールを飛ばされて興奮してチビって濡れるのですよね?」

 

 そろそろメンタル折れるでしょ小娘!!

 

「興奮は戦闘だからするけど種類違う!!チビってないったらないの!!」

 

「着替えるなら待ちますよ?それとも脱ぐだけにします?」

 

「・・・これは乙女の尊厳のために負けられない」

 

 サイオンが拳で殴りかかり海くんとの戦闘が再開されました。

 

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